楽譜 ベートーヴェン 交響曲第九番 | 翡翠のブログ

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楽譜を読むという変わった読書会、今回は12月らしく、ベートーヴェン 交響曲第九番。今回も小室敬幸さんのレクチャー付き。

 

このポケットスコアは、今回の読書会のために購入したのではなく、以前から持っていました。年末に一度は第九を聴きに行くようになって、いいなあ、歓喜の歌の合唱、歌えたら楽しいだろうなと最初に買ったのは合唱用の楽譜。ポツポツ、たどり読みしていたのですが、

 

やはり、全体のスコアも欲しくなって上のポケットスコアを購入し眺めていました(読んでいたとはいえない、絵本的に眺める感じ)。

 

今回、スコアと解説が課題本なのですが、最初は、やっぱりついていけなかったので、YouTubeのスコア動画のお世話になりました。

 

◆Beethoven: Symphony no. 9 in D minor, op.125

指揮 Herbert von Karjan カラヤン

演奏 Berlin Philharmonic  ベルリン・フィル (1977)

スコアを追うには少し楽器によって聴き取りにくいものもあるのですが、私の頭の中にある標準的な第九の演奏という気がします。

カラヤン×ベルリン・フィルの演奏は、CDを1枚持っているのですが、1962年の演奏のものなので、動画とは別らしい。しかし、どちらもオーソドックスで、私の好みの演奏です。

 

読書会のルームでは、私同様にYouTubeでスコア動画の力を借りて最後まで目を通せたという方もあり、ただ動画だと繰り返しなど、全体の構成は理解しないままに追えてしまうので、紙スコアで動画を止めたり戻ったりして何とか読んだ、おかげで全体の構成が理解できたとの感想もあって、それは確かにそうだったなあ、と反省。

 

他に、第2楽章がすごく速い、1小節1拍という感じ、一瞬で追えなくなって、メロディのわかりやすいポイントで待ち構えて、復帰できたとの感想もあり、それは私も大同意。第九は何度か聴いてこともあるし、だいたいはスコアを追えるだろうと楽観視していたのですが、だいたいは1stヴァイオリンを追うことでたどれたものの、良く似たリズムの続くところとかは、見失ってしまうこと多々でした。一方で、第3楽章は遅い。これは演奏によっては速めのものもありますが、第2楽章と第3楽章の対比で、一層、速く、遅く感じる。

 

繰り返しは本当に指示どおり演奏することが必要なのか、という感想も出て、私は、そもそも繰り替えしが必要なのかすら気になるところなのです。演奏だけを聴いていたときには、良く似たフレーズが繰り返されているなあとは思うことはあっても、そこが丸ッと繰り返されていることには気づいてませんでした。楽譜読書会に何回か参加してスコアを読んで、またバッハの無伴奏チェロ組曲を聴くにあたっても同様に楽譜を読んでおこうと予習聴きしてみて、こんなに丸ッと繰り返していたんだ?と初めて知って驚きました。もちろん、繰り返すには何らかの意図があるとは思うのですが、ABAといった感じで繰り返す場合、Bを挟んだことによって、もう一度提示する意味がある気がするし、AA’といったように、たとえば演奏の仕方が変わるとか、編成や厚みが変わるとかも、意図がわかるのですが、AABBのように繰り返すのは、どういう意図があるのだろう?

 

他に聴いた第九のそれぞれの演奏についての感想なども出て、今回も楽しい会でした。

 

レクチャーでは、スコアを分析して曲と照らし合わせて、主題がどんなふうに繰り返されているか、調性がどう変わっていって、それによって耳に感じる曲調、イメージがどう変わっているかなど、解説されて面白かったです。第1楽章のポジティブなエネルギー、ネガティブなエネルギーの均衡とか、第4楽章の、勝った?負けた?などのメロディを表す言葉に、そうそう、そう感じてると思ったり。

特に第4楽章は、好きな楽章でもあり、いつも聴きながら色々感じたり考えたりしている章でもあるので、軍楽隊を連想する行進曲の部分と宗教的な教会を連想する部分、歓喜の歌とグレゴリオ聖歌、俗世と教会という2つの音楽という解説は、いつも聴いてなんとなく感じていたことが言語化されたようで、非常に面白い楽しい驚きでした。ベートーヴェンの「父はいるのだ・・・いるかな?」という懐疑、確信を持たず疑念を持って、をメロディと歌詞から読み取るというのも面白い。

 

他に質問への答えでは、声楽ソロやコーラスの難しいところ、という解説も面白かった。確かに声で、こんなに音がかけ離れて上下するのは歌うの難しいだろうなあ。

 

最後の芸術について、現代美術を例としての、知ったうえで必要かどうかを選べる、自由に自分に必要かどうかを選べるという向き合い方の意見はとても興味深く、今後も何か初めてのなじみのないモノに出会ったときに、考えたいことだと思える話でした。

 

今回も面白い感想会、レクチャーで、今年ももうすぐ行く予定の第九演奏会に行くのがますます楽しみです。

 

今回の事前、課題の準備として、何度か動画でスコアを追ってから、次はお勧めされていた演奏を聴いたので、最後にそれらについて。


◆ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」(1994)

ジョン・エリオット・ガーディナー
オルケストル・レヴォリュショネル・エ・ロマンティク

古楽器でベートーヴェンの時代に演奏されたであろう演奏、解釈を追求したものらしい。スピードは速く、爽快で若々しい感じ、音は、くっきりメリハリがあるように思います。それぞれの楽器が明確に、はっきり聴こえるのでスコアをたどりやすいし、これまでメインで追っていた楽器の裏で、同時にこんな楽器が、メロディが鳴っていたんだなあと発見しやすい。楽器同士のかけあい、メロディの受け渡しも、パッキリしているように思います。Amazonのレビューに、「古楽器の特性を活かした演奏」「古楽器の特性である細かいアーティキュレーションが得意だが音が伸びないという点をよくよく考慮して演奏されている。」とあり、なるほど。マイベストな第九ではないけれど、当時、こう演奏されていたのかもと思うとすごく面白かった。

 

◆ベートーヴェン : 交響曲 第9番 「合唱付き」(2019)

バッハ・コレギウム・ジャパン
鈴木雅明 (指揮)

こちらも古楽器。ベートーヴェン生誕250周年&バッハ・コレギウム・ジャパン設立30周年記念のライヴ録音だそう。バッハ・コレギウム・ジャパンは、以前にオールモーツァルトプログラム(交響曲 第40番 他)と、バッハ:マタイ受難曲の演奏会を聴いたことがあります。

上のガーディナーほどではないですが、やはりテンポは速め。ダイナミックで若々しい、鮮烈で明瞭な感じに思います。古楽器の特徴なのか。

 

◆In Berlin: Ode an die Freiheit/Ode to freedom

交響曲第9番『合唱』 レナード・バーンスタイン&バイエルン放送交響楽団+5つのオーケストラ(ロシア、東西ドイツ、フランス、イギリス、アメリカ)団員(1989年ベルリンの壁崩壊記念コンサート)

 

こちらはDVDを持っています。踊るように指揮を振っている(というより、完全に踊っている)バーンスタインを観るのも楽しく、もちろん演奏も素晴らしく、私のマイベスト第九です。しかし映像ありの方は、どうしても映像を見てしまいスコアを追えません。

 

1989年12月25日にベルリンで行われたコンサートのアルバム。歴史的名演と評されるそう。それは、演奏自体もですし、同年にベルリンの壁崩壊の始まった年に行われた演奏会であるからか。

この時、第4楽章の「歓喜の歌」の“Freunde(歓喜)”を“Freiheit(自由)”にして演奏しています。バーンスタインは、社会的なメッセージを発する方であったようで、1985年8月には広島で、被爆40周年を悼む「広島平和コンサート」をも開催されています。

 

バーンスタインについては、以前に指揮者本からクラシック音楽を学ぶ読書会で、著作本「わが音楽的人生」を読んだのですが、学生に向けてのメッセージを語っていて、その中にも「ヒロシマ」がキーワードとして何度も出てきました。

 

感想会の最中に同席した方からも、レクチャーの最後に小室さんからも、バイロイト音楽祭でのフルトヴェングラーの交響曲第9番のラストについて紹介されたので、そちらも聴いてみたいと思っています。