駒井稔 /光文社古典新訳文庫編集部『文学こそ最高の教養である』 | 翡翠のブログ

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週末の今日も、オンラインの読書会に参加。課題本は、

駒井稔 /光文社古典新訳文庫編集部『文学こそ最高の教養である』

 

光文社古典新訳文庫の14冊について、駒井稔さんと翻訳者の方14人が対談する、紀伊国屋書店新宿本店で今も続くイベントを書籍化したものです。

 

今日の読書会は、その駒井さんが選書し会にも参加する読書会です。東京で行われていた会ですが、オンラインになって地方からでも参加できるようになりました。

 

課題本についての別の対談も、読書会前にネットで聴講しました。

光文社新書『文学こそ最高の教養である』出版記念Zoom講演会

『「愛読書は古典です」と言える人になる…!』 ゲスト:野崎歓×著者:駒井稔

終わってから、ありがたくもオンデマンド公開されました。

https://www.youtube.com/watch?v=VObU3ZSJLTw

 

直前にも、もう1回。

駒井稔×辻山良雄「本屋さんで話した本についての話を本屋さんで本屋さんと語りあう」 『文学こそ最高の教養である』(光文社新書)刊行記念オンライントークイベント。辻山良雄さん書店Titleの店主さんだそう。1回目のイベント時には、まだ読めていなかったので、2つ目のイベント前に読み切ろうと思って読了しました。

 

対談、どちらも面白かったですし、課題本の各回の対談もとても面白かった。なぜ新訳文庫を発刊しようと思ったか、なぜ紀伊国屋での対談イベントを始め、続けているのか。イベント後には対象の本がどっと売れるそうで、それは販売戦略としても成功だったのですが、本は好きだけれど何を読めばよいのか、何が面白いのか、その作品が書かれたとき、そして翻訳するときに、どんなことがあり、どんな背景があるのか、訳者は何を考え、なぜそう訳したのか、そういった周辺を知ることで一層その本を読みたくなるということがあるということを、とても実感しました。

 

現代使われているわかりやすい口語で訳すことに、過去に読んで気に入っている本などを訳し直されることには、私は当初、若干抵抗があったのです。前に星の王子様読書会をやったときに、新訳の「小さな王子」や「夜間飛行」を読んで、特に解説の充実しているのがすごく良いと思いながらも、でも子どもの頃に読んだ岩波版へのこだわりがあって。翻訳は原文と一対一なのでは?という気持ちもあったし。しかし今回、この本を読んで、翻訳の過程で原文の持つ背景や、著者の言いたいことや文化の違いなどをどう伝えるか、訳者の方が苦しみ迷い、亀山郁夫先生が綱渡りと言っておられるように、本当、少しでも原文の良さと読みよさを両立されようとしているのが伝わって、これは、読んでみたい、読むかいがある、と思いました。

 

読んだことのない本、たとえば「マノン・レスコー」とか「賭博者」「崩れゆく絆」とか、この本での対談、紹介を読んで読んでみたくなりました。光文社新訳で読んだことのある本が、私はまだ少ない。「ちいさな王子」「夜間飛行」「死の家の記録」くらいしか読んだことがないので、既に別の訳で読んだことがある本を読もうか、たとえば「1984」や「すばらしい新世界」を新訳で読み直してみるか、それともまだ読んだことがない本中で紹介されていて読んでみたくなった「コレクションズ」「消滅世界」「われら」等を読むかも、迷っています。本が積まれるばかりなので。

 

読書会が終了後も、たっぷり時間延長して、駒井さんが質問に答えてくださる時間もあって、参加者の皆さんの質問が多岐で、どれへの答えも面白かった。あの文庫の表紙のポップな絵が、全部、画家の方がゲラを全部読んだうえで書いているというのは驚きでした。今後、アジアやアラブやトルコなど、もっと様々な国の文学が新訳で紹介されそうというのもお聞きして楽しみです。