読書会 世界は贈与でできている | 翡翠のブログ

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今日は、猫町倶楽部のオンライン読書会に参加しました。

課題本は、近内悠太 「世界は贈与でできている 資本主義の「すきま」を埋める倫理学」 

 

設営は関西アウトプットだそう。猫町倶楽部には以前から時々参加していましたが、距離的な問題から参加していたのは、もっぱら名古屋地区で参加されるもの。現在、オンラインで開催されているため、開催地の制限なく、移動の必要もないので、面白そうな課題本の回には手軽に参加できてありがたいです。

 

今回の課題本は、経済分野の本かと購入前には思ったのですが、サブタイトルにもあるように、そして帯に「新しい哲学の誕生」とあるように、哲学の内容のようでした。著者の方も、大学は工学部数理学科でしたが、大学院は文学研究科で専門はウィトゲンシュタイン哲学となっていましたし。

 

最初、読みやすく思えたものの、読んでみると、ん?と理解しきれないところもあっての読書会参加となりました。

読書会での同じグループの方の感想でも、面白い!と思える部分がある一方で、例示の部分で、納得できなかったり解釈次第なのでは?との感想もあり。一番の疑問で、意見が盛んに交換されたのは「贈与」と「交換」の境目。交換にならない贈与はどうしたら可能なのか?ということ。理想としてはわからなくもないのですが、実際の場面でどうする?と考えると、疑問が出たり。贈与と搾取についても話題になりました。やりがいの搾取、愛の搾取、というやつです。

 

読書会の後には、今回の嬉しいお愉しみ。課題本の著者の近内悠太さんがゲストとして参加されていて、ゲストトークがありました。本当は読書会中にもグループをゲストが回るはずだったそうなのですが、今回あまりの大人数の参加者数(130人くらい)、とても回り切れないということで、半分のグループを回り、残りのグループはゲストトーク時に優先的に質問を受け付けるということになりました。

これ、確かにゲストと直接話せるというのは嬉しい参加ポイントですが、グループを回ると同じ質問を各グループから繰り返し受けることも多いと思うのです。特に今回はオンラインのブレイクアウトルーム利用のため、他のグループの質疑がリアル読書会のように漏れ聞こえるということがないので。その点、ゲストトーク時にチャットの質問を拾うという方法は、自分では思いつかない多々な質問の応答が聞けるし、著者の方に答えたい質問を選んでもらうこともできるし、結構良いシステムなのではと思いました。

 

トークと質問では、

・参考となる書籍 「親鸞」「贈与の系譜」

・著作の背景としては「3.11」、あんなに簡単に都市って壊れてしまうんだ、という思いから。

・贈与と交換は概念としては二項対立。それはしっかり対立してる。しかし実際の場面では、どちらになるかは、どちらにもなる可能性がある、それは相手次第、関係次第で輪郭はあやふや。

・あまり差出すという意識を持たないほうがいい。贈与すると思うのでなく、贈与を生きる

・読者への思いとしては、出会い直しを実践してほしい 人間の変化(成長でなく) 日々小さい中でもしていただけたら幸せ

・今回は暴力的な贈与を描くことになったが、次は「しょうがない、やめられない贈与」「業としての贈与」を書きたい。

というお話が、心に残りました。

 

このトークを聞いてから、もう一度読み直してみたい。ちょうどオンライン読書会ということで、同じ本で複数回開催されてもいるようなので、また読み返して参加したいと思います。