カミュ ペスト | 翡翠のブログ

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日々の徒然をつづっています。コメントは承認後公開させていただきます。

今日は久しぶりに開催された猫町倶楽部の読書会にオンラインで参加しました。以前から時々参加していたのですが、コロナ感染拡大のもとで対面でリアルの読書会ができないことから、ここ3か月ほども休止していたものです。その間、チラチラと別の読書会やセミナーに参加してみたり、自分で個人的な読書会を開催してみたりはしていたのですが、とうとう猫町もオンラインでの開催が始まりました。

 

今回の課題本は、カミュ ペスト

 

最近のコロナ禍の元、描かれている内容がコロナ感染拡大の元の今に似ているということで、非常に売れているのだそうです。

 

文学でありフィクションなのですが、淡々と描かれる様子はドキュメンタリー、ノンフィクションのようで、内容には時に悲惨な場面もあるのですが、読んで非常に面白かったです。そして確かに、コロナ感染拡大の報の元で、自粛で閉じこもりつつ、見えないウィルスを恐れる今に非常に通じる部分がありました。そうでない時に読んだら、もっと第三者的に読んだかも。

 

描かれている登場人物たちも、様々な人が描かれた群像劇で、共感できる人も多く、その意味でも読んで面白かった。

面白いというと、合わないか? 内容はシビアで、厳しいから。でも読みごたえという点では確かに面白い。医師として誠実に行動しながら、患者を救うことはできず、ただ診断し隔離するしかできないリウ―のリアル。ストーリーの中で変わるランベール。リウ―同様、立派で共感できるリウ―の母。

不条理文学なのだそうですが、不条理というか理不尽。神はだれも平等に死なせ救わない。神に求めるものは現世利益でなく、病気の快癒ではないとしても。病にかかるのは罪のせいなのか?まさか。

 

ペストが発生した街は隔離され分断される。それは見捨てられたということ。他の町に広がらないよう、理性的に客観的に、種の全体の安全のために。傷ついた部位は切り捨てられる。確率的には人の種の生存率は上がり、でも部位の人の致死率も上がる。総体の種の存続があれば、個々の死は計上されないのか?個々人にとっては、死が100%であるだろうに。ただただ、ペストは、死は、理不尽だ。

 

今回の読書にあたっては、100分de名著も購読。背景や、著者の他の著作まで紹介され、読み解かれる。ペストを読んで、自分が特にひっかかりを感じた部分、町が閉鎖され周りとは分断される部分、体験者本人と周りの人間との分かり合えなさ、宗教における罪、神への信仰について、ランベールの変化、リウーの考える義務と誠実への向き合い、タルーのリウーへの告白、などが解説されることで、そうか、私はだからそこに感じる部分があったんだ、と自分の感情や想いをクリアにされたように思います。このシリーズは、やはり良い。

 

さらにもう一種。ペストを描いた漫画、リウーを待ちながら

現代に生きることで、もう伝染病のもたらす死からは逃げ切ったような気持ちに普段なっていますが、そうでない、リアルな別の時間線の世界と思うと。

漫画ですが、丁寧に描かれていて、登場人物たちもリアルで、共感できる。今回のペストい合わせて読んで、とても想像が広がった。

 

オンラインでの読書会開催も面白く楽しい。通常だったら、なかなか行けない東京や関西開催の会にも、何時でも何度も参加できる、オンラインでも楽しさを見つけた気持ち。

折角なので、別の回にもぜひ参加しようと思います。、