イプセン戯曲読書会 | 翡翠のブログ

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今日は猫町倶楽部のイプセンの戯曲を読む読書会に参加してきました。栄の愛知芸術文化センターが会場で、久屋ぐるっとアートというイベントとコラボということでした。

 

来年1月のアートイベント、「第七劇場 × 愛知県芸術劇場 × 愛知県美術館 『ムンク|幽霊|イプセン』」とも連動した企画で、構成・演出・翻訳の鳴海康平さんがゲストとして参加してくださいました。

 

課題本は、イプセンの戯曲「人形の家」「幽霊」「ヘッダ・ガーブレル」の3冊から1冊選んで参加するという形。

 

来年の1月に開催される劇公演「幽霊」を観に行きたいことから、先日読書メモをブログにあげた「幽霊」を課題本に登録して読書会に参加したのですが、ただ読んでよくわからないところもあったため、結局それ以外の本も、合わせて3冊とも読んでの参加になりました。

私は3冊読んだ中では、一番「幽霊」が難しく、また、もし劇で観たら、すごく後味も悪く、救いがなく思って読みました。読書会のテーブルでも同様な感想もあったのですが、一方で、とても面白かった、通常の展開、設定とわざと反対にしているという感想もあって、興味深かったです。

読書会中にテーブルを鳴海康平さんが回ってくださり、参加者からの「幽霊とは何だと思いますか?」「戯曲中の季節はいつでしょう?」「息子の病気は何?」等の質問にも丁寧に答えていただけました。

 

読書会後にはトークショーで鳴海康平さんのレクチャーもありました。当時イプセンの作品がどう受け止められたか、それはもう出版されるたび、出るや否や炎上です、と。やっぱり。「幽霊」の場合、性病が描かれたこと、息子と母親違いの娘の近親相姦が許容されるかのように読める箇所があること、聖職者である牧師が主人公に手を出したと思わる描写があること、ラストで母親による息子の安楽死が行われるかどうかというところで終わっているところ、等々、批判される内容多々だったとのことです。

また来年行われる演劇では、イプセンだけでなくムンクの描いた幽霊もリンクしてのイベントとなるのですが、ムンクがイプセンの幽霊をどう描いたか、いくつかの作品を紹介され、その共通項なども会場で考えたりもしました。

 

さらに、会場からつのって、実際に幽霊の戯曲を声に出して読んだりという場面もありました。声に出して読みあうと、ずいぶん黙読とは違って感じられます。最後に、戯曲を作るうえで目指すこと、作る苦しみといったことまで、色々話していただけました。

(画像は主催者のSNSより)

 

トークショー後は希望者で懇親会。鳴海康平さんも参加してくださり、さらにお話聞いたり、質問したりできました。

 

私も「原作から劇化する時には、原作はどこまで活かすものか、どこまでオリジナリティを出し変えるものか」お尋ねしました。それは人にも作品にも寄って色々で答えるのは難しいけれど、原作のタイトルを名乗る以上、原作への尊敬が重要であること、あくまで原作に沿って解釈し発展させることで、そんな解釈があるのか、そんな表現があるのかという、同じ土俵での勝負がうまれること、設定だけを活かし全く違うものにするのであれば、タイトルも変えれば、といった考えをお聞かせいただけました。

 

懇親会の食事も美味しく楽しい懇親会でした。ぜひ来年の劇は観に行こうと思います。