源氏物語 四十四帖 竹河 | 翡翠のブログ

翡翠のブログ

日々の徒然をつづっています。コメントは承認後公開させていただきます。

今日は仕事を少し早く退けて、子どもの歯科検診と皮膚科。歯科が小さな虫歯が見つかって治療の必要ありでした。

 

源氏物語 四十四帖 竹河

前帖の真木柱に続いて、今回も故髭黒周辺の一族にスポット。今回は真木柱が歌を柱に残す原因となった、髭黒が懸想した玉鬘側の話。

 

尚侍(玉鬘)と故髭黒の娘、大君は美しく帝からも求められますが、明石中宮の威勢が強いことから玉鬘はためらいます。冷泉院、夕霧の息子の蔵人少将からも望まれていますが、玉鬘は臣下には嫁がせる気がありません。

 

玉鬘は薫(このとき、十四・五)を源氏の忘れ形見として親しく接し、婿として迎えたいと思っています。年賀に訪れた夕霧は息子についての意向を打診しますが、玉鬘は冷泉院への出仕をほのめかします。

玉鬘が冷泉院を娘の相手に選んだのは、かって玉鬘は、髭黒に手を出される前には、尚侍として冷泉院に出仕することになっており、

「みづからのいと口惜しき宿世にて、思ひの外に心づきなしと思されにしが恥づかしうかたじけなきを、この世の末にや御覧じなほされまし」

とは、玉鬘が院の気持ちに応えたかったという気持ちがあり、大君に自分を重ねているのではないか、と解説されていました。

 

薫も年賀に訪れます。庭先の梅が少し蕾を付け、鶯の初音もたどたどしく聞こえてきます。薫が玉鬘邸を訪れる場面は国宝源氏物語絵巻にも描かれています。

 

後日、また薫が訪れ、和琴を求められて弾きます。その音色が故柏木に似ていると玉鬘は感涙します。

三月、大君と中の君は桜の木を懸けて囲碁をします。これを蔵人少将が垣間見し、一層思慕を募らせます。

 

このシーンは、国宝源氏絵巻にも描かれている場面。女性たちの着物と散る桜の花びらがとても美しい好きなシーンです。

蔵人少将の垣間見は、柏木が女三宮を垣間見したことと、季節と言い衣装と言い重なることが指摘されているのだそう。しかし柏木とは違って、蔵人少将は破滅的に恋に突き進むことはありません。

 

4月になり、大君は冷泉院に出仕します。蔵人少将は落胆し、玉鬘の息子の左近中将と右中弁は帝に恨み言を言われ、玉鬘を責めます。

翌年、大君は女二の宮を産み冷泉院から寵愛を受けますが、帝が立腹しているという噂に、玉鬘は尚侍を中の君に譲り出仕させます。

五年後、大君は男御子を産みますが、男子を産んでいない弘徽殿女御側から嫉妬され悩み、玉鬘は後悔します。

薫、蔵人少将は昇進、一方玉鬘の息子たちは昇進が遅いのでした。

 

玉鬘はこれまで運命に翻弄されながらも、自分を律することで、運命を乗り切ってきました。髭黒と結婚することになってしまったことは不本意であったと思いますが、その時のふるまいも源氏に評価されていましたし。それでも冷泉院のところへ出仕できたらという想いがあったのかもと思うと、息子たち、情けない、母親に文句言って泣きついているんじゃないよ、と思います。