今日はあいにくの雨でしたが、歌舞伎を観にいってきました。中日劇場開場50周年記念公演だそうです。演目は
一、操り三番叟・・・三番叟:市川 右近
二、雪之丞変化・・・中村雪之丞/母ゆき/闇太郎:市川 猿之助、中村菊之丞:片岡愛之助
操り三番叟 11:00~11:30
雪之丞変化 一幕11:50~13:00 二幕13:25~14:10 大詰14:15~14:50
親子歌舞伎時にイヤホンガイドの良さに目覚め、今回も利用しました。
「操り三番叟」は、祝儀舞踏で、中日劇場50周年を寿ぐ演目。
始めに、翁と千歳が登場し、国土安穏、五穀豊穣、天下泰平を願う舞を舞います。翁の舞は能の趣向らしいですが、能と異なり実際には面を着けません。面を着けたということにして、素顔で舞います。
続いて、糸繰人形が三番叟を舞うという趣向で、後見と人形役が舞います。人形のつられているような、ちょっとふらふらっとした踊りがそれらしいです。途中で、糸が絡まってくるくる回ったり、倒れたりという場面もあっておかしい。絡まりを直し、五穀豊穣を願った舞を納めます。
「雪之丞変化」は、仇討もの。
悪者の長崎奉行土部駿河守三斎や広海屋達によって濡れ衣の罪で冤罪を着せられた松浦屋清左衛門は自害、妻のゆきも三斎に迫られ切られてしまいます。二人の子雪太郎は、成長し人気女形の中村雪之丞となり、仇討を果たします。
主人公の中村雪之丞、義賊の盗賊頭の闇太郎、母親のゆきの三役を猿之助が演じます。よく知らないで見始めた私は、てっきり雪之丞と闇太郎は同一人物で、表の顔が雪之丞、裏の世界で闇太郎として生きているのかと当初思ったのですが、そんなことは全然ありません。考えすぎでした。
別人ということなので、舞台にも同時に出る場面があります。が、同じ人が演じている、で、どうするのか。これも服を変える早変わりで、どちらかの役一人だけが舞台に出ると思っていました。が、それだけでなく、同時に出ることがあるんです。その時は、猿之助演じる方の役が見えを切り正面を向き、そうでない方の役は別の役者が演じているよう。これを、戸板を使って入れ替わり早替わりで演じつつ殺陣を行うのがとってもすごく面白い。
また、雪之丞は中村座の女形という設定なので、劇中劇で歌舞伎「関の扉(雪之丞は黒染桜の精)」「本朝廿四孝(雪之丞は八重垣姫)」のクライマックスの場面が演じられるのも面白かったです。
さらに今回の演目、「宙乗り」があります。雪之丞が仮面の忍者赤影の白影さながら、タコに乗って乗り込むクライマックスで、舞台から二階客席の上まで宙乗りで客の頭上を移動します。二階の観客に触れそうなほど頭のすぐ上を飛ぶ雪之丞に観客は大興奮で拍手して手を振り大喜び。さらにそのタコを撃ち落され、あわやと傘を落下傘にして舞台に戻ります。
中日劇場では、舞台の上手側から客席2階下手へ、30メートルにも渡る宙乗りです。「中日の宙乗りが一番綺麗」と市川猿翁さんが言っておられたそう。往復60メートルの宙乗り、拍手かっさいでした。もちろん、私も大興奮で大拍手していました。
これまで観たことのある歌舞伎とは趣向が違っていましたが、起承転結、話しの筋が追いやすく、台詞もわかりやすくイヤホンガイドがなくても十分付いていけます。とっても面白い見ごたえのある舞台でした。