人間同士の関係の中で、”もっとも濃密な行為”というのは、

他者の独走、暴走を止めてやる。

という行為なんです。


しかし、”言うは易し”でございます。


誰かを捕まえてね、


オイ!そいつは間違ってるぞ!!


なんて言うのは、面倒なことだし、エネルギーが必要なことで、なかなか出来るもんじゃありません。


つい面倒で流しちゃうことは、よくあることです。


や、お袋がね、


「ユーカちゃんいるでしょ。再就職先決まったんだって」


23日に行われる従兄弟の結婚式の関連で電話をかけてきたんです。


まあまあ話がそこから派生しまして、同じく親戚のユーカちゃんという子の再就職先が決まった。


って話を聞いていたんです。


「ナントカって会社のナントカって仕事!」


お袋も、もう67歳。


完全に、老いが止まらないせいか、話していても情報が一切増えないことが多いです(笑)


ほんと会話の中の”ナントカ”率の高さは上昇の一途なんですよ。


まあただお袋もそれには気がついていたんでしょうね。

頑張って思い出そうとしてるんです。


「ええっと、ええっと……。お母さん聞いたの。なんだっけ……」


そしてね、頑張った甲斐なのかなんなのか、思い出したんです。

20世紀の漫画表現なら、お袋の頭の上で電球がピカッ!って感じで……。



「思い出した!ユーカちゃんねー、コールガールに勤めるの!!」



…………?!

コ、コールガールとな?!


や……まあ……ねぇ……。


リンカーン曰く、


『世に卑しい職などない。卑しい人がいるだけだ』


ですから、いいちゃあいいんですが……。



「なんかね、札幌は人件費が安いから、電話を受ける部門だけ持ってくるんですって!」



…………。


ああ、なるほど……。


コールセンターか……。



皆さん、これ、どうします?(笑)



止めます?(笑)



この間、お袋、”コールガール”って単語を何回も言ってるんです。


もう訂正することなんか、面倒で面倒で、仕方ないことですよ。





ですが。


僕、言いました。


”面倒くさい”自分をなんとか奮い起こし、


「コールガールじゃなくて、コールセンターな」


って。


そしたらお袋。まあ~こともなげでございます。


「あ、そうそう!コールセンター!!……でね、そのコールガールでね……」


こともなげに繰り返しやがりました(笑)

……………。




2度目は無理でした。



他人の暴走止めるって難しいなぁ(笑)
ウチのお袋は口グセのように僕を捕まえて、


「男の子は可愛くない」


なんて言ってましたが、思い返してみると、食事時が多かったような気がしますよ。


しかし、本当に可愛いくないでね。


男のメシってのは。



や、昨日ね、会社終わりに同期のヨコヤマとファミレスに寄ったんです。


まあまあ言っても男2人メシ。


居酒屋でお酒を飲みながら、だったら多少、話も弾むのかもしれませんが。


ハンバーグとドリンクバーじゃあねぇ。


「あー……俺、ハンバーグのセットにするわ」


「(ドリンクバー)なんか取ってくる?」


「じゃあウーロンで」



だいたいこれくらいで話は終わりますよ(笑)


あとは、ファミレスについていた大きなテレビを会話なく互いに見て……。


ハンバーグを黙々と食べ……。


「そしたら行くか?」


「ん」



本格的に終わりです(笑)



”チーン”って効果音がぴったりですよ。



ところが、女の人ってのはいいもんですねぇ。



や、僕らの横のテーブルが、20歳くらいの女の子3人の席だったんです。


まあ~喋る、喋る(笑)


君らご飯を、いつの間に口に入れてるんだい?


って聞きたくなるほど、喋るんです。


だけど、チラりと見た限り、食事は次々と減ってますから、確実に食べてはいるんですよね。


ミステリーですよ(笑)


まあまあ、そしてね、えらく楽しそうなんです。


なんと言うんでしょう。


会話が次々と回転していくんですね。


恋愛の話、仕事の話、友達の話、芸能人の話まで……。


会話がポンポンと翔びながらも、こなしていく。


あれですね、”トークの八艘飛”ってやつですよ(笑)



それに対してこちらは”トークの碇知盛”ってくらいに重たい。


…………。


そのね、『平家物語』でね、そういう場面があるんですよ(笑)




しかし、ああいうことを思い返してみても。


男の子ってのは可愛いもんじゃないですねぇ(笑)
ウチのスガワラ部長ってのは、問題が多い人でございまして。

三度のメシより好きなのが、自分の手柄話。

地震、雷、火事よりも嫌いなのが、他人の手柄。


なんてしょうもないオッサンなんですがね。


まあそれでもイイところもそりゃああるんです。


出入りの業者さんや、若い奴に”声をかけてやる”ってところなんです。


や、ほんと一言です。


「メシ食ったか?」
「仕事馴れたか?」
「お!お前楽しそうな顔してるな」


なんて他愛の一言なんですが、僕はこれ彼の美徳だと思ってます。


2光年くらい先に僕が”長”の付くポジションに付いたら真似しようなんて考えているんです。



ですけどね。



ま、やっぱり人それぞれですわ。


そういうのが、うざったいとか、めんどくさいなんて思う人もいるみたいですねぇ。


や、今日ね、エレベーターで新人の男の子に会ったんです。


この男の子ね、偶然、僕と中学校、高校、大学と全部、一緒なんです。

もちろん、多少年は離れてますから、同じ年度に在学してることはありませんでしたが、それでもこっちからしたら”後輩”って気がして、なにやら可愛いんです。


まあその男の子。


エレベーターの中で、僕には、挨拶してくれるんです。


隣にいたワタナベ課長には挨拶ナシです。


その後もね。


廊下を一緒に歩いていたんですが。


挨拶する先輩と、全くスルーする先輩とがハッキリ別れているんです。



や、僕もね、そんな朝から、


「ややっ、キノシタ部長!お肩にゴミが!もぉ可愛いゴミ!食べちゃお!!」


なんてヨイショ!はしませんよ(笑)


でも全く無視はしませんわ。


「オハヨッス!」と言って会釈くらいしますわ。


でね、彼に、


「あんなぁ、朝の挨拶くらいは、ちゃんとしなきゃいかんよ?」


って注意してみたんです。そしたら……。


「あ、はい。すみません。でも知らない人だったので……」


知らない人って……。

同じ会社だ、馬鹿(笑)


なんかね、彼の中で、

会話をしたことがある人=知ってる人

らしいんです。



や、合ってるといえば合ってます。



たしかに地下鉄やバスで互いに一方的に、顔見知りになっている人に挨拶なんかしませんわ。


でもね。


会社の中は別じゃねぇかなぁ……。


例え知らない人だったとしても新人なら挨拶しなきゃならんと思うけどなぁ。


「じゃあ通り過ぎる人全員に”オハヨウゴザイマス”って言うんですか?」


……まぁ、確かにタイミングとかもあるけど、スルーするよりマシだと思うぜ?


「でも、僕、人見知りなんです」

知らんがな(笑)



まあまあ、この辺りで彼と別れましたけどね。



どうなんでしょうねぇ。



なんかね、僕、”彼は損してる”って思えてならないんです。


彼は多分、


「挨拶なんかたいしたことない。自分はきっちり仕事してるんだ」


って自負があると思うんです。



でもね、入社1年から2年なんざ誰もが仕事出来ませんよ。



みんながみんな、松坂みたいな即戦力になんかならないんです。



だから新人や仕事出来ない奴は、挨拶やらムードメーカーに活路を見出ださなきゃならんと思うんです。


「あいつ、仕事はまだまだ、だけど、可愛いげもあるし、チャンス与えてみるか」


って上司に思わせなきゃ損ですよ。


そして、よほどの大事件になるようなミスや、何回も同じことをやってしまうミスとかじゃない限り、挨拶や可愛いげを大切にしてると、誰かがフォローしてくれると思いますけどねぇ。



小泉改革以降ね、


実力主義


とか、


人材主義


なんて言われてますでしょう。


僕ね、こういう時代だからこそ、逆に大切だと思うんです。


数字なんて怪しいもんですよ。


タテにしたりヨコにしたりで印象は変わるんです。


そしたら結局のところ、評価するのは”上のモン”なんですよね。



ウチの死んだじい様は、僕に、


頭を下げる。挨拶をする。媚びを売る。


これでカネを得た奴はいても、それでカネを取られた奴はいないぜ。



なんてよく言っていました。


でもどうなんだろうなぁ。やっぱり時代は、ロケットに乗って変わったのかしら。


もう僕は古い人間なのか、よくよく考えてみたいと思います(笑)