おはようございます
番組名は変わって行くけれど
日本の古典芸能の魅力を伝えるEテレの番組がありましたよね。
現在は『芸能きわみ堂』という名前で
高橋英樹さんが案内し、芸人の大久保 佳代子さんが学ぶ人として放送されている・・・のは知ってましたが
私には格が高くて歌舞伎も見たことないし、踊りも知らないしで、番組を見たことなかったんですよね。
それがついに見る事となりました。
お題が大河ドラマ「光る君へ」連動企画!愛と嫉妬の能「葵上」(前編)だったので(再放送でした)
能の人気作「葵上」を2週にわたって解説とあります。
知っているではないですか「葵上」のお話なら。(あさきゆめみしを読んだ方なら知ってますよね)
歌舞伎や浄瑠璃や能は、元のお話を知らないと、楽しめないと聞いていましたので
もしかしたら、今回は楽しめるかもと思って見ました。
いやいや、面白かったです
あのスローモーションの極みみたいな能の動きの中で
激しい嫉妬や恨みを現しているのですが、まさにその動きや面に
嫉妬や恨みを見る事ができるんです。
「葵上」という題ですが、主人公は六条御息所です。
若くして亡くなった皇太子の元妻である六条御息所ですので
教養も知性もひときわで、美しくプライドも高い女性ですが
光源氏と恋仲になり、さらにそのプライドの高さから光源氏のお渡りが減ってくる頃になると
日々うつうつとして光源氏を待つことになります。
さらに光源氏の正妻である葵上が懐妊したり
車争いという、品のない事件に巻き込まれてしまったりして
六条御息所はすっかりノイローゼ状態になります。
やがて六条御息所は自分の意図しないうちに、生霊となり、出産まぎわの葵上のところに現れて、その恨みをはらそうとしてしまうのでした。
(番組前編はここまで)
能表現で面白かったのは
葵上という題目ですが、葵上は表現者の中にはおらず
舞台の一番前のところに広げて置いてある小袖(当時は肌着や寝間着だった)を
葵上にみたてて、話が進行していくのです。
その置いてある葵上に見立てた小袖に扇を投げつけたりして嫉妬の炎を表現する六条御息所
怖いです。
まだ普通の女人のふっくらした面なのに
その顔はひどくやつれて見えたり、怒りや嫉妬に満ちていたりします。(あのスローな動きなのに)
番組HPより切り取りです
いや~能の表現恐るべし
引き込まれます
続きが早く見たいです。
番組中に高橋英樹さんが
「もしこのお話を男性が書いたなら、怒りの矛先を渡ってこなくなった光源氏に向けるだろうに
女性が書くから葵の上に向けるのですね」とおっしゃり
ゲストのファーストサマーウイカさんと大久保さんは大きく首をたてに振られるのでした。
女性の嫉妬の「無意識」を千年前にこうも美しく悲しく表現した紫式部は本当にすごいなと改めて思ったのでした。