おはようございますくもり

 

今朝、うちの前の大川(大阪市内北部を横切る河川)の水が、ものすごく濁っていて

水量も閘門で調整されているとはいえ、川いっぱいに流れていました。

昨日の大雨で皆様被害はなかったでしょうか、おかげさまで、うちは大丈夫でした。

 

おばけ  おばけ  おばけ

 

今日は島根県松江市の「大雄寺」に伝わっている小泉八雲の怪談話をご紹介しますね。

実は先日、ある雑誌に紹介されていて、怖がりの私はいつも怪談なんて避けて通ってましたが

短いのでつい読んでしまって、なぜか心に残ったのです。

「水飴を買う女」
中原町にある大雄寺の墓場にはこんな話がある。


中原町に、水飴を売っている小さな飴屋の店があった。水飴というのは、麦芽からつくった琥珀色の糖液で、乳のない子あたえるものである。


この飴屋へ、毎晩、夜が更けてから色の青ざめた女が白い着物を着て、水飴を一厘買いにくる。飴屋は、女があんまり痩せて、顔の色が悪いものだから、不審に思って、親切にたびたび尋ねてみたが、女は何も答えない。


とうとう、ある晩のこと、飴屋は物好きに女のあとをつけて行ってみると、女が墓場へ帰ってゆくので、飴屋は怖くなって家へ戻ってきた。


そのあくる晩、女はまたやってきたが、その晩は水飴は買わずに、飴屋に自分と一緒に来てくれといって、しきりに手招きをする。そこで飴屋は、友達と語らって女の後について墓場へ行ってみた。


とある石塔のところまでくると、女の姿がぱっとかき消えた。すると地面の下から、赤児のなき声が聞こえる。それから、みんなして石塔を起こしてみると、墓の中には、毎夜水飴を買いに来た女の骸(むくろ)があって、そのそばに、生きている赤児がひとり、差し出した提灯の火を見て、にこにこ笑っていた。


そして、赤児のそばには、水飴を入れた小さな茶碗がおいてあった。この母親はまだほんとに冷たくならないうちに葬られたために、墓の中で赤児が生まれ、そのために、母親の幽霊が、ああして水飴で子供を養っていたのである。

 

――母の愛は、死よりも強いのである。 (出典 平井呈一訳「小泉八雲作品集」)



小泉八雲は「母親の愛の強さ」を物語の結びにしました。幼くして母ローザと生き別れた自分の境遇への思いから出た言葉だろう。」と大雄寺の山門に記載されています。

水木しげるさんの、漫画「ゲゲゲの鬼太郎」は、この話をモチーフにして生まれたとされます。

「子育て幽霊」「飴買い幽霊」「幽霊飴」と似たお話は全国にあるようです。

地方によって、産まれた子は女の子で、飴屋を継いだとか、男の子でお寺のお坊さんになって母親を供養したなど、とにかく生まれた子は、みな健康で成人まで育ったようです。

なんだかほっとしますね。