モザイク。 4 | 背徳的✳︎感情論。

その4

翔ちゃんの焦燥。












告知Vの収録を終え、ようやくニノと智くんと別れた。



今度は俺だけ、別の仕事に向かう。




現場では苛立ちが上手く隠せなくて、周りに気を使わせてるのが分かって酷く落ち込んだ。






なんでこんな、イライラするんだろ・・・


ニノと雅紀が仲がいいのは、Jrの頃から知ってたし、別に今更そこに嫉妬する必要もないのに


てか嫉妬ってなんだ?


なんで俺が嫉妬するんだよ・・・




考えれば考えるほどイライラする。

答えなんて出せそうにない。



くっそ

なんだよもう・・・・



八つ当たりしたい気持ちを必死に堪えて、俺は最後の仕事を無理やりこなした。



早く独りになりたくて、俺はマネージャーの車を断って、歩いて家に向かった。

自宅まで、歩いても30分ほどだ。

頭を冷やすのにちょうどいい。


俺は深夜の歩道を、独りでとぼとぼ歩いた。


でも独りになったらなったで、今日の仕事でやらかした、自分のダメなとこが猛烈甦って、俺を自己嫌悪に陥れようとする。


その間あいだにフラッシュバックする、雅紀とニノの顔・・・



あの二人・・・いったい何の話してたんだろ・・・



「雅紀・・・」


思わず呟いた名前に、俺は恥ずかしくなって、誰にも聞かれてないか確かめるように、辺りをキョロキョロ見渡した。


幸い、誰もいない。


俺はホッとするのと同時にため息ついて、「あー!」って髪をかきむしった。

その瞬間、ポケットに入れてたケータイが着信を知らせて大きく鳴った。


慌ててポケットを探ってケータイを取り出しながら、もしかしたら雅紀かも、って淡い期待を抱いた。


けど・・・画面に浮かんだその名前は・・・



二宮和也










『もしもし? 翔ちゃん?』


ニノの高い声が電話越しに響く。


「・・・なに」

俺は不機嫌さ丸出しの低い声でそう応えた。


『あっはっは、やっぱ相当疲れてんね』

そんなことはまるで気にならないみたいに、彼はさらっとそう言った。


ニノに笑われてカチンときて、

「何の用? 切るぞ」

すごんで見せると、

『待って待って待って』

ニノが焦った感じで、でもどこか可笑しそうにそう言って俺を留めた。


「なんだよ? 俺、超機嫌悪いんだけど」


機嫌を悪くさせた張本人に、俺はなに言ってんだ・・・


『分かってます。分かってますけどね』

「なにが分かってるって言うんだよ?」

『ふふ・・・そんなことより! ちょっと相葉くんが大変なんですよ!』

電話口で大きな声を出されて、俺は顔をしかめてケータイを耳から離した。

「大変って・・・なに? どうした?」

『ちょっと、電話じゃ・・・ お願い! 相葉くんちまで来て?』

「電話で言えないことってなんだよ!?」

『いいから早く! 翔さんにしか頼めないから』

早口にそう言うと、ニノは電話を切ってしまった。



だから!

なんなんだよ!!




「あーーー!! もーーーー!!!!!!」






俺は真夜中に絶叫して、雅紀んちに向かって弾丸のごとく走り出した。






























つづく!










月魚