女性職人のこだわりに唸る「日本料理 うすだ」
2019年に開店されてからずっと行きたいと思っていた「日本料理 うすだ」。女性の板前さんお一人だけで営んでいるという、日本料理屋にしてはとても珍しいお店。コロナの影響で、来店歴のないお客様は予約不可の時期があったため、それが解禁されるのを待ってようやく行くことができた。扉を開けて、何よりもまず魅力を感じたのは、臼田さんの素敵な笑顔。日本料理のお店は、初訪問時けっこう緊張するけれど、臼田さんの優しくも柔らかい笑顔で、初めてなのに「おかえりなさい」と言われているような温かい包容力を感じ、緊張が一気に解れた。この時点で既に常連になってしまいそうな予感がした。お一人で切り盛りされているので、お店自体もこじんまりとしているけれど、店内はまったく圧迫感を感じさせない。壁やカウンターに、季節の生花が活き活きと素敵な花器にセンス良く生けられている。夏らしい涼やかな花器に緑が映える。コース料理は7,000円、10,000円、15,000円の3種類。本日は10,000円のコースで予約した。一品目は、ほやとトマトの茶わん蒸し。ほやが苦手な私には、ほやではなく甘海老で。彩りが本当にきれいで、ビー玉を浮かべているような涼やかさ。出汁を効かせながらも味付けは必要最低限におさえられていて、加美町の甘味と酸味のバランスがよい赤・黄色のミニトマトと甘海老のコクのある甘味、卵のコクと旨味をしっかりと味わえる。ホヤも試しに頂いてみると、やはり鮮度は抜群で、苦手な私でも美味しかった。二品目は、揚げ物。甘鯛とズッキーニ。パリパリ、サクサクの甘鯛の鱗は本当によいアクセント。身はもちろんふっくらジューシー。ズッキーニは旬の甘味を湛えている。三品目は、八寸。くるみ豆や白魚、もずく、カラスミ、鰻などなど、旬ものが盛りだくさん。一つ一つの味付けがとても繊細で、あくまでも素材の旨味を引き出すことを徹底している。どれも食べ終わるのが惜しまれるほど美味しかった。四品目は椀物。湯葉の上に雲丹 with わさび。そしてじゅんさいを浮かべている。こちらの味付けも本当に繊細で、かなり薄味なのに、出汁と調味料との絶妙な調和で味わいがグッと深くなっている。この一体感、職人が成せる技。じゅんさいも雲丹も新鮮で旬ならではの旨味がたまらない。そこに、豆の風味がしっかりした湯葉がどっしりとした安定感を演出。五品目は、向付。主役の穴子は梅とわさびで頂いた。これが、本当に忘れられない美味しさ。新鮮な穴子の弾力と旨味。そして、この梅がまた合う。甘味を一切加えていないということで、梅本来の熟成された甘味と塩気が穴子の旨味をさらに高めてくれる。この食べ方、ハマりそう。家でもやってみよう。六品目は、焼き物の鮎 with モロッコいんげんの胡麻和え。鮎は頭の先から尻尾まで丸ごと食べられるよう処理が施されている。表面はパリッと香ばしく焼かれ、身はしっかりとした鮎の旨味が味わえる。モロッコいんげんがまた甘い。さすが旬もの。調味で砂糖を一切加えていないとのことで、豆本来の甘味がここまでしっかりと感じられるのは、本当に良い素材を厳選されている証拠なのだろうと思う。七品目は、温麺。うすだ名物のカラスミが惜しげもなくかけられている。温麺にはアカモクが練りこまれていて程よい弾力を出してくれている。このアカモクの磯の風味とカラスミとがまたよく合う。喉越しも良く、あっという間にペロリと食べ終えてしまった。八品目は、再び焼物のイチボ。2枚のイチボの間と一番下にはじゃがいも。イチボの肉質もよく、火入れ具合も抜群に肉の美味さを引き出してくれている。じゃがいもも、濃厚なのにしつこくない甘さがあり、醤油ベースのソースとの相性も抜群。このソースは醤油とみりんでしょうか。本当に味付けが最低限でシンプルに感じる一方で、ものすごく複雑な化学式で完成されているかのような繊細かつ絶妙な味の調和を感じる。そして、ご飯は、とうもろこしの土鍋ご飯。とうもろこしの土鍋ご飯の上に載せられたお魚の名前を忘れてしまった。。。(涙)これまた香ばしくふっくらと焼かれていて、ご飯との相性は言わずもがな。とうもろこしも、ハリがあって甘味が強く、まさに旬ものの美味さ。〆の土鍋は「日本料理 e.」を思い出します。最後の甘味は、葛切り with 巨峰。これまたとても涼やか。輪切りの巨峰が、おはじきのようで、巨峰にこんな魅せ方があったとは!味付けは、くどい甘さがまったく無く、やさしい甘味。甘味は、きび砂糖を使用しているとのこと。他のお料理でも砂糖は使わず、きび砂糖や甜菜糖などを使っていると伺って納得です。お料理全体を通じて、本当に食材の本来の旨味を大切にされているような調理に感服しました。食材選びのこだわりにも並々ならぬものがあり、その食材の旨味を最大限に活かすための調理の引き算と足し算のバランスがまた本当に素晴らしい。また、お料理に合うお酒のラインナップもかなり豊富。宇宙ビールや、昨年まで県内に流通していなかった福島 有賀酒造のコイクマなどなど、珍しいものも頂くことができた。ここでは、臼田さんのペアリングにおまかせするのが一番でしょう。臼田さんのお人柄も素晴らしく、お食事中の会話も楽しませていただきました。素晴らしいお料理、女性らしい柔らかな空間とお気遣いに酔い痴れた夜でした。本当にありがとうございました。また近いうちに伺わせて頂きます。【お店情報】 日本料理 うすだInstagram住所:仙台市青葉区本町2丁目12−2 地下1階