話は特に弾むこともなく、
とりあえずこれ以上不快にはさせたくない思いがあったので、
気を遣って話をした。
無愛想君は気がつくと無愛想でなくなっていた。
もう怒ってないんだなと分かる顔になった。
この人はわかりやすいぐらい顔に出やすい。
さらに話していくと、素朴な人柄が現れてきた。
飾れない人なんだなと思った。
彼は私より先に電車を降りるはずだが、
ここは送って行くのがマナーかなと言って付いてきた。
普段私はこの手口の場合は絶対断るのだが、
この人は素直に送りたいんだろうなとなぜか思えた。
流石に自宅までは送らせてなかったが、
最後にまた次も会いたいと言ってきた。
何だか、うぶだなぁと思えるぐらい純粋な
少年みたいになった。
この人はまっすぐな人だなぁ。
何故だか温かく感じた。
そう思った私は誘いを断らなかった。
ネタバレをしますが、
この無愛想君が私の夫です。
この無愛想で素直で素朴でまっすぐなところは、
結婚して20年近くになるが、
全く変わりません。
しかし、多分変わったのは私です。
あの時は魅力に感じたものが、
今はもう少し私に気を使えと思ってしまう。
それが夫婦なのかもしれない。