久しぶりにケーキを買いに遠出した。
ケーキだったらアンタの家の近くに幾らでもあるでしょ?
そんな嫌味にも似つかぬ台詞をたまに聞かされるんだけど
ケーキなら何でもイイのは三流
美味しいケーキを求め食べるのは二流
不味かろうが何だろうがひたすら新しいケーキを求め歩くのが一流。
一方でそれが正しいとは全然思わなかったりするんだけど
恰もそれが正しいことかのように振る舞い
私は日夜新たなケーキを求める求道者然と行動する
それが私なのだ。(笑)

ところが
今日買おうとしたケーキ屋さんは余りにも行列が出来ていて
一時間待ちと聞いたところで私は断念した。

ふん!
ケーキ風情が高飛車過ぎるぜぃ!
この寒空の下
客を1時間も待たせるなんざ一般消費財を売る姿勢じゃなくってよ。
いつからケーキはそんなに高飛車になったんだぃ?!

そんな憎まれ口を誰にも聞かれぬよう
内心胸の内だけで呟きつつ
私はお店を後にした。
ケーキ求道者の信念は
単に新しいケーキを求めるだけじゃなくって
いつも一般消費者の視点に立つこと。
決してお店の視点に立ってはイケナイのだ。(自負)

それにしても
実は私は既に以前にも食べたことがあるから
流石に1時間も待ってまで買おうとは思わないのだけど
これが遠方からやってきて
しかも食べたことなかったら
やはり1時間でも2時間でも待ち続けることだろうなぁ。
しかもそこまで待たされたら
意地でも「美味しい」と思いたくなることだろう。

ひょっとしたら
そうした一つ一つがお店の計算なのかもしれないけど
私は嫌いだなぁ。
何だかアンフェアだよ。
それでなくとも美味しいのは美味しいお店なのだから
一人でも多くの人に
手軽に届けるような姿勢は作れないものだろうか。
少なくとも
待っている時間になんらかの配慮って出来ないものだろうか。

こんな状態が続いていると
なるほど
この店のケーキは美味しいと思って貰えても
この店のファンにはなれないような気がするんだよなぁ。
それはある意味
パティシエとしては望むところかもしれないけど
それはある意味
パティシエとしては間違っていることのような気がする。
うまく言えないけど。

最近
近所にある有名なお店が出店した。
そこも凄い行列が出来ていた。
でも
天邪鬼な私は当然並んだりしない。
行列が無くなった頃に食べに行くことだろう。
でもそのとき
きっと私はそのお店を評価しないことだろう。
何となく
何となく
そのお店の姿勢が嫌いだから
そのお店のファンになれないから。
ちょっと時間を持て余した休日の昼下がり
CDでも借りに行こうかと近くのレンタルへ足を伸ばした。
なんやかんやで週1ペースぐらいでは来るもんだから
別に新しい曲なんか入っちゃいない。
それでも足が向くのは
単に習慣化しちゃっているんだろうね。
リリースのカレンダーだって大体インプットされてんだし
別に目新しいモノなんざありゃしない。
こんな日は懐メロに浸るっきゃない。

そう思っていたら
コーナーの一角に
中古CDの販売コーナーがあるのが目に入り
安物買いには滅法目がない私は
当然のようにその一角にブラックホールのように吸い込まれる。

あぁでもない
こぅでもない
物色し続けて諦め掛かった時
ふと指に触れたタイトル
それは懐かしい学生時代の頃の曲。

あぁホントに懐かしい。

昔よく聞いたっけ。
昔よく歌ったっけ。

楽器は出来ないけど
歌ったり聞くのは好きな私には
いつもその時代を飾る曲が残されている。
そんな曲には大体
その時つきあっていた人の面影が投じているものだ。
あの人との時はこの曲
この人との時はその曲
裏返すように
その曲その曲
イントロ聞けばその時つきあっていた人とのことが蘇る。
顔も
匂いも
場所も
時間も
走馬灯のように一気に想い出させる。
中には
今想い出せば赤面モノなことも
あぁ
やんなってくる。(泣)

破格の値段も手伝って
とりあえず買って行こうって
1度は手に取ったんだけど
しばらくジャケット見つめてみては
やっぱり棚に戻して店を出た。

瞬間的に思い出させてくれて昔の夢の切れ端は
今思い出すには余りに現実と掛け離れてしまっていて
それを想い出という言葉で括ってしまうには
1枚のCDには荷が重過ぎるような
よく分かんないけどそんな気がして。
鼻歌で歌うにはイイんだけど
ちゃんとした曲で聴くには
何だか切ない気さえしてしまった。

帰り道すがら
私は鼻歌で歌ってみた。

♪~♪~♪♪・・・

あぁダメだ。
サビがうまく想い出せない。(泣)

私はまたお店へ踵を返した。
そしてやっぱり買うことにした。

今思い出すには余りに現実と掛け離れてしまっていて
それを想い出という言葉で括ってしまうには
1枚のCDには荷が重過ぎるような
さっきそう思った私のせつなさは
その曲のタイトルを確認しつつ
カラオケで歌えない辛さに比べれば
今の私にとっては
ホントどうでもイイ想い出なんだ。
無性に何か美味しいモノが食べたくなって
久しぶりにパティスリーに行った。
大の酒好きである一方で
大のスイーツ好きな私は
昼はケーキ
夜はお酒と
将来成人病一直線なこと間違いなし。
でも
美味しいモノはやめられないよね。

パティスリーでショーケースを眺める時は楽しい。
ケーキには夢がある。
子供の頃からも
大人の今に至るまで。
白い生クリームに
黒いチョコレート
赤いイチゴに
青いブルーベリー
華麗に彩られた一つ一つが
オトギバナシの情景から
空想的なイリュージョンまで
色んなモノを目に映してくれるんだ。
そして
その一つ一つが
美味しいという記号まで背負って
正に甘いメロディーを心に奏でてくれる。

ケーキは食の芸術。

どんな腕利きのシェフだって板前さんだって
ケーキには敵わない。
だってそこには子供の頃からの想いが一杯詰まっている。
大人のルールをどんなに持ち込んだって
子供の頃からの憧憬には勝てない。
貧乏人の子供だって
金持ちの子供だって
幼い頃からケーキには夢を抱いていた。
ケーキは子供が心に抱く夢のキャンパスだよ。
そしてそれが目の前に呈示された時に
夢はいつか現実になることを覚えるんだ。
そして頬張って
全身に喜びを感じる。
子供が感じる達成感と満足感。
それを背負って私達は大人になって
でも時間を経て積み重ねた原体験の前には
大人のルールはカタナシだよ。

ケーキは心の解放。

日々のツマラナイことから頭を逆回転。
子供の頃からの憧憬を心に戻し
昔感じた達成感と満足感で全身を痺れさせてくれる。
グチャグチャで黒く染まった頭の中を
生クリームのように真っ白にさせてくれる。
何処までも甘くクリーミーに全身を委ねさせてくれる。
特に美味しいケーキに巡り合えた時はそうだよね。

美味しいモノに出会うとき
そして取り分け
美味しいケーキに出会うとき
私は忘れていた何かをいつも思い出すんだ。
それは子供の頃の憧憬とか
メルヘンチックなまでの純真な心とかいう類じゃなくって
もっともっと
もっともっと
人間にとって大事なモノを。
職場の年配の男性で
とても不倫好きな人が居る。
厳密の言うと不倫好きなのではなく
単に女好きなのだと思うけど。

普段仕事はキチンとやっているんだけど
その陰でリアルタイムで妖しいことをしている。
複数の女性を文字通り股に掛けて遊んでいるらしく
仕事中にも携帯にそれらしきから掛かってきたりする。
そんな時はすぐに分かる。
それは話し方が畏まっているとか
妙に堅苦しいとか 
そんなドラマにありがちなんじゃなくって
偽名で名乗っているから。
ホントは山下(仮名)というんだけど
電話取るときに「西山(仮名)です」
というからすぐに分かる。

彼はいつも偽名で遊んでいるらしくって
コンセプト(?)は個人事業の社長ということになっているらしい。
ホントはフツーのサラリーマンなんだけどね。
彼曰く
「社長といえば女なんかチョロい」
らしい。

そんな彼は高校教師の女性と看護婦さんなどと付き合っているらしい。
彼曰く
「本当の職業は違うかもしれないけどね」
らしい。

結局
大人同士
お互いに適当なコンセプトで楽しんでいるのかもしれない。
相手が本当な何なのか
そんなことは別に興味なくって
適当に割り切った仲でゲームを楽しんでいるだけなのかもしれない。
まぁそれはそれ
互いに焦げ付かなきゃ別にイイんじゃない
そう思うんだけど
私が腑に落ちないのは
彼は決してそんなにイイ男じゃないってこと。
頭も薄らハゲちゃってて
全然魅力的には見えないんだけど
何故だろう?
男には目に見えない魅力があるのだろうか
それとも
割り切った人間達だけの魅力があるのだろうか
そこんとこ私にはよく分からない。
ただただ
自称個人事業主と
自称高校教師&看護婦との
熱く儚い恋は今日も続けられている。

携帯の着信音がフロアに響いた。

「ハイ、西山です。」

熱く儚い恋は今も続けられている。
スズは恋多き人だ。
いつだって誰かに恋をしている。
もうイイ加減落ち着きなさいよって
そんな言葉も遣い方間違っちゃっているぐらいに
困ったちゃんなんだけど
いつまでたっても恋をしている。

周囲を振り返れば
もっと愛すべき人が居るんじゃない?
そんなことも言いたくなるけど
言ったところでどうこうなるもんじゃないし
身内で無い以上
端から見ている分には楽しい存在だからそれでイイやと。
本人だって
私から何か言われる前に
ミミタコで一杯忠告されてるんだろうし。
でも
どっちみちそんなこと気にするヒトではないし
「ひがみよ、ひがみ」
そう言い捨てるのがオチだから。

ただ別に
スズが間違っているとは思わない。
本人なりに正しいことをしているだけだから。
スズは恋をしたくてしているんじゃない。
スズはヒトから愛されないと居られないヒトなんだ。
いつも誰かから愛されていると実感していないと
恐くて居られないヒトなんだ。
そうなってしまった時にスズをとりなすことは出来ない。
それを思えばスズは今のままで居る方が世の中平和なのかもしれない。
そのために幾人かが傷つくことがあっても
それ以上に多くの人間が傷つくことを考えれば
トータルで被害は少ないのかもしれない。

スズは孤独なんだ
きっといつも。
スズは可哀相なんだ
きっと実は。

でも
ひょっとしたら
スズはただの
恋多き迷惑人なのかもしれない。
“近くまで来たから遊ばない?!”
テレビを見ていてゴロゴロしていたらジュンからの電話。
少ししたら出掛けなきゃいけなかったんだけど
折角の機会でもあったので
私はノコノコ駅前に出掛けた。

ジュンはいつ見てもカワイイ。
全身で無邪気さを体現している。
“どっかイイ店紹介してよ!”
そんなに良かないかもしんないけどって
私はお気に入りのカフェに案内した。

東京でカフェったって
何処もかしこも排気ガスまみれでやんなっちゃう。
もっともパリだってそうなんだけど。
でも
この街は車入り込めないから
カフェは何処も雰囲気が良くってよ。

“ホントだねぇ!ステキすてき!”
やめてよ。
そう単純に喜ばれるとこっちが気恥ずかしくなるよ。
“そっか?ごめんゴメン!”
謝んなくても良くってよ。

ジュンは喜怒哀楽が豊かだ。
決して激しくはない。
喜怒哀楽が豊かだ。
物事に臨んでは
めまぐるしく感情を交錯させる。
決して感情的なのではない。
感情表現が豊かなのだ。
ジュンと居ると心が洗われる気がする。
人によっては疲れを感じるかもしれないけど
ヒネクレモノの私にはジュンのそうした心の動きが純粋に楽しい。
ジュンのオクターブが耳心地良いせいもあるかもしれない。
しゃべり方もリズミカルで
ジュンは良い雰囲気を持って得だよね。

あっという間に楽しい時間は過ぎてしまった。
ジュンごめんね。出掛けないとイケナイから。
“こっちこそゴメンね!楽しかった!また遊ぼうね!”
何にもしてないよ。
こっちこそ悪いよ。折角来てもらえたのにさ。
駅の改札でジュンが必死に手を振る。
やめなよ、恥ずかしいからさ。

ジュンはいつ見てもカワイイ。
無邪気って言葉はジュンのためにだけある。
今日は年に1回の雛祭り。
当たり前か。
年に何回もあっても困っちゃうよね。
でも
子供の頃からそうだったけど
雛祭りって世間の認識が今イチ弱くってさ。
端午の節句は
男の子のお祭りといっても子供の日って総花的だし
祝日でもあったりするからイイんだけど
雛祭りは女の子だけのお祭りと限定されているし
その癖何故か白酒飲んだりさせる中途半端さがイケナイ。
男には居心地が悪く
女には何処か中途半端で
昔の平安貴族が考えたのかどうか知らないけど
もっとコンセプト明確にしないからダメだよね。(笑)
お陰で
こっちはしっかり雛祭りしようと思っても
世の中の多くは無関心だから
平気で色んなアポ入れられたりなんかしちゃって。

そんな話してたら職場の後輩が
「雛人形すぐ片付けないと嫁に行きそびれるって言いましたよね」
だなんて
自分は結婚しちゃったからイイけど
言葉に気をつけなさいよ
なんて思っていたら
「ウチは雛人形飾ったこともなかったけど」
と後ろの席のミスOLが力説。
ムキになんなくても
そんなこと関係ないに決まってんじゃん。(笑)
そんなことイチイチお雛様のせいにされちゃ
お雛様も可哀相だよ。
お雛様も別に結婚相談所の回しモンじゃないんだし。
何よりも
お雛様はお内裏様と結婚してんだからね。
イイ迷惑ってもんで。

朝家を出る時から「今日は大雪です」だなんて
昼間実際にあんなにポカポカ陽気だったから
そんな予報聞いても信じられなかった。
だけど
夜に入ってから冷たい雨を降らせたかと思うと
深夜半からはスッカリ吹雪始めてしまった。

足早に家路を急ぐ人々。
今頃みんな家でお雛祭りしてんだろうか。
別に雛祭りには無関心な世間様も
恋人達にとっては別だ。
雛祭りだって
子供の日だって
恋人達には何か理由さえあればイイ。
ボクがお内裏様で
私がお雛様で
二人仲良くスマシ顔。

アツアツの恋人達にあてられて
雪吹雪くホワイト雛祭りも
みぞれ交じりに変わるだろう。
知人が消費者金融で困っているとの噂話。
「何でそんなのに手を出したわけ?」
「女関係で困ってたらしいよ。」
「女関係ったって何でそんな金が要るわけ?」
「色々貢ぐために借りてたんだって。」
「よりによってそんな所で借りなくても。」
「奥さんに内緒だったからみたいよ。」
「そりゃそうでしょうが。(笑)」

男は哀れだ。
女を養うには金が掛かる。
しかも既に居る以上の女を養うには
それもどうせ若くて活きのイイ女なんだろうから
当然にお金が掛かることだろう。
その上お互いの需給アンバランスもあるのだろうから
一旦そういう関係になると
相手を繋ぎ止めるためには
きっと一杯お金が掛かってしまうのだろう。

バブルの頃なら
経費で賄って女に貢いでたなんて話もある。
でも今はそんな時代でもない。
だけど
心で貢ぐなんて時代でもない。
お金はいつだって絶対的に必要だ。
女は
愛は金と引き換えにはしないけど
金でしか男の愛を測らなかったりするから
女を繋ぎ止めるには
どんなにデフレの時代であっても
バブル並みの資金力が必要だ。
しかも当の女は
貢がれた金額から愛は測れても
貢がれた金額だけの愛は感じないイキモノだから
足りない分の愛情は他の男から借りてしまう。
結局愛なんて
金で表現は出来ても
金では実感出来ないもんなんだ。

男は哀れだ。

しかも
仮に金を工面して何とか恋が成就したとしても
恋は計画的にしないとイケナイ。
アテもなく
ただ闇雲に勝ち取った恋は
いつまで経っても返済されることがない。
ただただ
更なる投資が要求されて
次々と注ぎ込む内にすぐに焦げ付いて
やがて不良債権となって重く圧し掛かる。
最後には家や家庭まで失って
自己破産を招いてしまうんだ。

チワワのように
つぶらな瞳に騙されて始まった恋の成れの果てには
辛く悲しい修羅場や焼け野原が待ち構えているんだ。
何て悲しい
大人の恋なんだろう。

大人の恋は
一つのゲームのようなもの。
だから
ルールを守ればそんな焦げ付くことも無い。
だけど
ルールを踏み外すような恋に手を染めたとき
終わりの見えない戦いの渦の中に巻き込まれる。
戦前の日本のように。
最後は無条件降伏しかない。(泣)

人間なんて
恋するために生まれてきたイキモノのようなものだから
いつになったって恋することを止めはしない。
だから
恋をするなとは誰も言わない。
それに
恋は人間をいつまでも若々しくさせてくれる。
燻ぶることのない
情熱の炎は
枯れることのない人間美を維持させてくれる。
だから恋は大切だ。

だけど
使い方を誤ると身の破滅も招いてしまう
両刃の刃なんだ。
気をつけないとイケナイよね。
だから
つくづく

恋のご利用は計画的に。
電車の中
手持ち無沙汰で何気に携帯をいじっていた。
溜まっていたメールの整理したり
着信履歴を削除してみたり。

元々几帳面なのか神経質なのか
私は結構な整理魔なところがあって
そのせいだか
メールや着信履歴もすぐに消して
メモリークリアするのが好き。
好きって訳じゃないんだけど
うん
まぁ好きなんだろうなぁ。

実を言えば携帯をよく失くす性質で
今の携帯が3台目だったりする。
何でこうも失くしやすいんだろう?
何処でそう失くすわけ?
って聞かれたりするけど
何処で失くしたか分かっていれば失くす訳もない。
何処で失くしたか分からないから失くすんだよ。

メールや着信履歴を全部整理したら
次は電話帳の整理。
知らない内にアドレスも増えたなぁ。
そんなに電話番号とかメールアドレス交換しないヒトなんだけど
それでも知らず知らずの内にデータは増えている。
随分前に知り合って
随分前に連絡取らなくなった友達の名前とか見つけて
あぁ居たっけなぁって
妙に懐かしく思い出したりして。
思えば
この人とはこのメールアドレスだけが接点なんだよねぇ
なんて言う人も居る居る。
他に何の情報も接点も無い。
ネットやっていればそういう人なんて幾らでも居るんだけど
改めて考えると
そういう付き合いってとっても不思議な感じがする。
そういえば
何年も付き合っているのに
未だに相手のこと
よく知らないって人も居る居る。
面白いよねぇ。
こんな風でも人間付合いって密に出来るもんなんだよね。
友達とか親友って言葉の意味
きっと
昔と今とでは定義が違うんだろうね。

アドレス帳スクロールしてたら
全然見覚えの無い名前が出てきた。
ハテ?誰だろう?これ。
全然思い出せない。
全然思い出せない。
ハテ?誰だろう?これ。
記憶の糸を手繰って手繰って
ハッと思い出した。
あぁアイツだ。
ちょっとだけ知人だったけど
すぐにケンカして大っ嫌いになった男。
その後二度と連絡も取ってなくって
ずっとそのままだった男。
アイツのアドレスまだ持っていたんだぁ。
そんなこと思い出して
それ以外のことも思い出して
何だか無性に腹が立ってきた。
ホント大っ嫌いだったんだ。
思い出すだけで腹立たしい。
思い出しただけで腹立たしい。
顔が浮かぶ。
あぁムカつく。
ここまでヒトの気分を害するヤツも珍しいよね。
今頃何処で何してるやら。
そんなこと考えてしまったことも腹立たしい。
もう二度と思い出すもんか。
私はメモリー削除した。

“YES”

消えた。
携帯のメモリーからアイツが消えた。
そしてこの瞬間
私のメモリーからもアイツが消えた。
最早何のキッカケも無くしたあの男
多分もう二度と思い出すことは無いだろうね。
1行のアドレスだけが取り持っていた縁
メモリーが消えた瞬間に
赤の他人が成立する。
何だかデジタル。
何とデジタル。
儚いようであり
サバサバしているようであり。

とにもかくにも
あの男は私のメモリーから消え去った。
もう思い出すことはないだろう。
あの男は私のメモリーから消え去った。
もう思い出すことはないだろう。
あの男のことも
あの男のことを覚えていたことも。

にっちもさっちも行かないほど
追い込まれているはずなんだけど
心も体も動かないのは何故?
そうそれは
私がただの怠け者だからサ。

思えば運だけの人生。
コレっぽちの才能も努力も無いのに
何か分からないけど適度な期待感だけでココまでやってきたけど
生来才能が無いというのは辛いモンだね。
行き詰まったが最後
もうダルマさん
手も足も出ないヨ。

こんなときにソバに誰か居たらな。
こんなときにソバに誰か居たらな。
何と言うこともない由無し事を
ただ言い聞かせるだけでも少しは気が紛れるものを。
ねぇ聞こえてるかな
アナタのことだよ。
ちょっと冷たい素振りしてるけど
ねぇアナタのことだよ。

擦れ違い。
そう
擦れ違い。
多分ただの擦れ違いなんだろうけど
それを確認することが恐いだけ。

思い余ってメール書こうとした。
でも
それは弱い私を見せること。
ダメだよ
ダメダメ。
私は冷たいキャラだからサ。
そんな同情買うよに泣きつけやしない。
ヘン!
一昨日着やがれバキヤロウ!
アンタのことなんか大嫌いだ。

酔狂紛れに
自分の顔を撮って写メールした。
ニコニコ顔でピース。
着信して画像を改めて見る。
あははは。
面白い顔してるねアンタったら。
アーッていう叫び声を天井に響かせ
私はケータイをベッドに投げつけた。
そして
ただ
ただ
私はベッドに泣き崩れた。