「あなたの隣にいると、つらいの」

キミはうつむいたまま、意味もなく空になったコーヒーカップを手に取った。

「ムリをしている自分が嫌いになるの」

酷いことを言われているはずなのに、僕はケーキを食べ続けていた。

大好きなレモンパイなのに、なぜだか味が全然しない。

急にこんなコトを言いだした彼女に、僕は途方に暮れていた。

・・・ホントは、気づいていた。

彼女が時々、一人で泣いているコトを。

そして。泣いていたコトを僕に気づかれたくないと思っていたコトも。

だけど僕は、どうすればいいのか分からなかった。

分からないことを言い訳にして、自分を守った。

彼女は今、自分で自分を守っている。

今にも泣き出しそうな目が、何よりも雄弁に語っていた。

泣けばいいのに。

僕は唐突に、そう思った。

我慢なんかしないで、心のままに泣けばいいのに。

でも、そんなコト、言葉になんか出来るわけが無くて。

だから僕は、言葉の代わりに涙を流した。