家庭菜園をやっている。サラリーマン故、週末しかまとまった時間が取れないため、無肥料無農薬、雑草を残したままの自然栽培。しかも手抜き。こんな感じでやっている。
例年、5月の連休のころ急に気温が高くなって初夏の様相を呈し、またまとまった休みも取れるため、いつもこの期間に野菜の苗を買い込んで畑に植えている。種から育てるものもあるが、多少高く付いても苗からやるのが確実だ。で、今年もいろいろ植えたのだが、柔らかい新芽を狙って奴らが暗躍する。ナメクジだ。
奴らは日中は落ち葉や石の下に身を潜め、夜に這い出してきて柔らかな新芽や葉を食い散らす。植えたばかりの枝豆は新葉を食われ無残な姿となり、アスパラは出てきたばかりの柔らかいところを狙われて曲がりくねって生長していく。野菜に留まらず、奴らは可憐に咲き始めた花も食い散らし、ベルベットのようなパンジーの花びらも、無残な穴だらけの姿にされてしまった。奴らの這いずり回った白い跡を見るだに、腹立たしさがわき上がる。
ナメクジホイホイの様な物を使ったことがあるが、さっぱり役に立たなかった。畑の中なので、薬を使ってやっつけるのも嫌なので、結局見つけ次第叩きつぶすこととなった。
朝と夕、畑にしゃがみ込み奴らをじっと探し、片っ端から叩きつぶしていく。最初は嫌な感じがしたが、つぶしてもつぶしても次から次へと出てくる奴らに憎らしさが増し、大量に叩きつぶしているうちに気にならなくなった。一日で数十匹、いや百匹近くを叩きつぶしている。終わりのない戦いだ。そのうち、目をつぶると奴らの姿が残像で浮かぶようになってきた。恐ろしい。そんな時は、急いで美しいものを思い浮かべる。
奴らを叩きつぶしながら、なんでこんなに憎悪がわき起こるのかと不思議に思った。僕は、叩きつぶしながら「よくも俺の苗を食い散らかしやがって」と思っていることに気がついた。そう、食い物の恨みである。やはり、食い物の恨みは恐ろしいのである。
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