『第二話』
猫でない存在に気づき、拒絶したその日の夜のこと。
私は布団に入り、まだ眠っていませんでした。
そのとき——
部屋にあるちゃぶ台が、
「ダーン!!」
と、これまでに聞いたことがないほど大きな音で叩かれます。
明らかに人為的な力を感じる音でした。
ポルターガイスト自体は珍しくありませんが、ここまで強いものは初めて。
正直、かなり怖くて、一瞬パニックになります。
でもそのとき、「ここで怯えたらダメだ」と思いました。
弱気になると、つけ込まれる——そう聞いたことがあったからです。
だから私は、迷わず同じ強さでちゃぶ台を叩き返しました。
——今思えば、完全に間違った判断です。
今回のように強い霊障に対して、「対抗する」という選択自体が危険でした。
その夜は、それ以上何も起こらず終わります。
でも翌日から、状況が一気に変わりました。
部屋の中、そして縁側で、あちこちから大きなラップ音が鳴り始めます。
最初は一箇所だった音が、どんどん増えていきました。
まるで「囲まれている」ような感覚です。
それでも私は、まだ強気でした。
廊下に塩を撒いて、何とかしようとします。
でも——まったく変わりません。
それどころか、ラップ音は部屋の中でも鳴り始めます。
一日中、色々な場所で威嚇するように鳴り続けるようになりました。
さらに、私の動きに合わせるように、追いかけてくるようになります。
ここでやっと、「おかしい」と思い始めました。
怖くなって、部屋の中にも塩を撒きます。
気づけば、部屋中が塩だらけになっていました。
パソコンを打っていると、
後ろでビニール袋をガサガサと鳴らす音がします。
振り返っても、何もいません。
明らかに異常です。
夜、横になると、
誰かが身体の上をはっている感覚があります。
驚いて飛び起きました。
寝ている最中も、身体を揺さぶられて起こされます。
タンスや壁の隅からも、昼夜関係なくラップ音が鳴り続けました。
さらに、同じ敷地内の仕事場でも音が鳴り始めます。
——気づけば、どこに行ってもラップ音がついてくる状態になっていました。
この時点で私は、はっきり感じていました。
今までの違和感とは、まったく別物。
これは異常だ!と。
それでもまだ、
「自分で何とかできるかもしれない」
「周りを巻き込みたくない」
そう思っていました。
——これが、完全に間違いでした。
このあと私は、
「見えない世界には、自分ではどうにもできない領域がある」
ということを、身をもって思い知ることになります。
——
≪この時点での教訓≫
・強い霊障に対して“対抗する”のは逆効果
・自己判断にははっきりと限界がある
・異常のレベルを素直に認めることが大事
・悪化している時点で、早く人に頼るべきだった
このときの私は、「強く出れば大丈夫」と思っていました。
でも実際は、その行動が相手を刺激して、状況をさらに悪化させていたんです。