「死にたい」「死にたくない」 4 | IRIEなLIFE

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「死」というものを

今まで本気で実感したことはなかった








誰にでも平等に訪れる「死」







今から100年後には

この世に今生きている人のほとんどが

死んでいるだろう




つい2ヶ月前に産まれてきた瑛斗でさえ

医学がすごい発達しない限りは

確実に

100年後には死んでるはず





そのくらい

「死」とは未知なる物だけど

でも

確かな物






「死ぬのは俺だけじゃない」







そう考えれば

なんだか「死」なんて

怖くはないと思ってた















でも実際の「死」


というより

「死の恐怖」とは

とてつもなく

恐ろしい物だったんだ
















あと5分もすれば

病院に着くのは分かっていたが

きっとそれまで持たないだろうと

悟った俺は

恐怖におびえた



苦しい

ただひたすらに苦しい



目を閉じれば

簡単に死ねそうだ



今まで

息を吸えなくて苦しかったはずなのに

今は

息を吸っている方が苦しい気がする


いっそのこと

息を吸わない方が

楽なんじゃないかとさえ思う






こんなに苦しいなら…




「死にたい」




そう思った







だが次の瞬間

子供達の顔が

頭にうかんだんだ





「死にたくない」





危うく

「死」を受け入れそうになった俺は

何とかそこで踏みとどまった







「死にたくない」



そう強く願っていないと

今にも呼吸を止めてしまいそうだった






「死にたい」

「死にたくない」




俺の中で

その繰り返しが続きながらも

次第に意識が遠くなっていくのが分かった







そしてどのくらい経ったか



俺は

動かない手に最後の力を注ぎ

ポケットからケータイを取り出したんだ






指はもう曲がらない

ケータイが何度も手から滑り落ちる





それでもエミと最後に話がしたかった俺は

やっとの思いでエミに電話した





「もしもし、ユースケ大丈夫?」


「エミ、ごめん…。俺死ぬかも…、会いたい…、病院来て…。」






そのあとエミが何かをしゃべっていたが

俺はそれだけ告げると

電話を切った









最後にエミに会いたかった

でももうそれも叶わないだろう



だけど最後に少しだけ

エミの声が聞けたから





ごめんね、エミ…

こんなに早く

未亡人にしちゃったね





一生エミを守るなんて言っておきながら

こんなに早く約束破るなんて

マジで情けない男だ






子供も二人も作っておいて

こんなに早く

死んじまうなんて

マジで無責任極まりないな



ごめん…




こんな俺を信じて

アメリカまで来てくれたのに



俺と結婚さえしなければ

家族のそばを離れることもなかったし

友達とも離れずにすんだのに…







そんなことを

考えながら

一歩一歩近づく自分の最後を

ただひたすら

待っているだけだった