自然災害と戦うために必要なこと | 門前小僧、習わぬ今日を読む

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反グローバリズム、反新自由主義、反緊縮財政。
アイコン,ロゴ画面はイラストレーターtakaさんより。
takaさんの詳細情報はブログ画面にて。

 

 

この一件で、

高齢者より若者を優先すべき!

というような

いわゆる高齢者死ね死ね団

X上に大量に沸いてたんですけどね。

 

こういう悲しいやるせない事件を

政治的プロパガンダに利用する胸糞の悪さもさることながら、

こうした悲劇をなるべく減らしていこうというところまで

議論が発展しない歯がゆさを感じてしまいますよね。

 

というわけで

備忘録の方をどうぞ。

 

治療の優先順位は年齢で決めるものではなく

生命の危険に曝されているか否かで決まるもんだし、

そうあるべきだと思うんだけど、

 

5歳の幼い命が喪われた件で

一気に感情論が噴出して

原因解明がおざなりになってしまっている。

 

特に災害時はトリアージが重要になるけど、

あの件でこれがキチンと運用されていたのか

ってのが不明瞭で、

 

これが効果的に運用される場合では

医師の診察眼ってのも重要になってくるけど、

病院の状況がどうなってたのかも分からない。
 

負傷者が次々と運び込まれる中での対応可否は

リソースに左右される。

 

何れにせよ、

この一件に限って

医療側の対応が適切だったのかと言うと、

 

そうとも思えない。
 

臀部全体と大腿部というと、

小児なら体表10〜15%以上の範囲には達するだろうし、

例え表面上水疱形成のないⅠ度の熱傷に見えたとしても、

広範囲熱傷の場合は

必ずしも重症度が一様とは限らない。

 

それに広範囲熱傷の場合、

激痛による緊張や

広範な傷害部位の炎症に伴う発熱と

過剰な発汗からの脱水、

最悪ショック状態に移行して

心肺停止のリスクもあるはずだから、

 

もし平常時で無治療なら

医療ミスと言って差し支えのないレベルだと思う。


平常時ならば。

 

今回の件は激甚災害レベルの大地震後

という非常事態に起こった一件で、

 

それだけにトリアージというシステムが

キチンと機能していたのかが問題になる。
 

需要と供給バランスが崩壊した逼迫した状況下では、

治療の優先順位を決めなければならず、

その優先順に治療をしていくシステムがトリアージ。

 

無論優先順を決めるのは

医師の診断によるんだけど、

その医師自身、

自分も被災者で恐らくはロクに休憩も取らず、

限界状況で診察していたとしたら、

マトモな判断と

それに基づく適切な対応が

難しくなっていた可能性も当然に考えられる。

 

全国の医療従事者で結成される

災害派遣医療チーム、DMATが現地入りしたのは3日。


それまで現地の医療機関は

阿鼻叫喚の状況だったことは想像に難くない。

 

 

 

命が失われるのは悲しいことだし、

助けられたかもしれない命が失われたことに

憤懣やるかたなくなるのは当然で、

 

どのような批判や攻撃が起こっても

何も言葉は出て来ない。
 

ただ一つだけ言えるとすれば、

自然災害などによって起こる非常事態というのは

「そういうものだ」ということ。
 

だからこそ、

平常時のうちに、

起こりうる様々な状況を想定して

可能な限り対策を練り、

訓練し、

金をかけて設備や人材を整え、

平常時には余る程度の余力を

常に持っていることが重要になる。
 

そうして入念に準備したとしても、

被害を完全に抑えることなど出来はしない。

 

それでもなお、

やるだけ無駄なんてことはありえない。

 

何もしなければ、

こうした悲劇は無制限に増えてしまう。


いかなる理由があろうと、

こうした悲劇を一つでも減らすために、

少なくとも国や政府には努力する義務がある。

 

財政均衡などというくだらねえ目標のために、

命を救う準備すら怠るような国が

今の日本だということを忘れてはいけない。