門前小僧、習わぬ今日を読む

門前小僧、習わぬ今日を読む

反グローバリズム、反新自由主義、反緊縮財政。
アイコン,ロゴ画面はイラストレーターtakaさんより。
takaさんの詳細情報はブログ画面にて。

英国のトラスショックについて

「ホラやっぱり大型減税はダメなんだ」

という言説が緊縮派議員を中心に多いけど、

 

トラスショックについて

日本が本当に参考にしなければならんのは

 

その背景、

 

実体経済における生産供給能力の低迷が

金融不安を引き起こし、

経済全体を不安定にさせるってことなのよな。

 

 

トラスショックの原因になった政策

ミニバジェットは

①所得税を中心に大幅な減税を目玉にしたもんだったけど、

②ジョンソン前首相が掲げていた法人増税をトラスが撤回してしまい、

③財政支出の拡大は補助金程度に留まった結果、

④財源不安から政府の信用が低下して通貨安になった、

 

てのが大まかな流れ。

 

トラスは

①大幅な減税で消費拡大してGDPを拡大、

将来的な歳入増を見込んでたってところなんだろうけど、

 

当面の財源について

②法人増税撤回しちまった挙句、

③目立った公共投資は政策に入れていなかった。


②はともかく③に関しては

海外投資家にとって何の旨味もない。

 

貿易収支が慢性的に赤字のイギリスが

国内消費拡大をするには

輸入拡大してモノを供給せなあかんわけだけど、

経常収支も真っ赤っかのイギリスが、

さらに消費拡大=輸入拡大するとなると、

通貨安まっしぐらになってしまう。

 

 

この上で

ジョンソン前首相の言う通り

法人税の増税なんかやった日には、

 

株主利益も減って

海外投資家にとっては踏んだり蹴ったりになる。


それを懸念して

トラスは法人増税を撤回したんだけど、

①減税→消費拡大路線を突っ走られても

ポンド安は明白で、

結局海外投資家は損をすることになってしまう。

 

イギリスに投資するってことは

ポンド資産を持つということだから、

ポンド安になればポンド資産が目減りしてしまう。
 

だからそうなる前に海外投資家は

イギリスから資産を引き上げた。
 

そしていわゆるキャピタルフライトが起こり

トリプル安(株債為替安)に繋がった、

ってのが少し詳細な流れになる。

 

だから

 

④「財源不安から政府の信用が低下した」

と言うより、

「イギリスは輸入依存的な経済構造なのに、

そうした前提をまるで分っていないかのように

ポンド安に拍車をかけるような減税政策を打とうとする

“政府の信用が低下した”」

 

という方が、より正確な表現と言える。

 

こうしたことからも、

“財源”と言うのが何なのか、

ということが非常によく分かる。
 

国の、政府の財源とは、

即ち“国全体の生産供給能力”のことであり、

④を正しく読むとすれば

「財源(=英国の供給能力)不足への不安から

(自国供給能力不足に無頓着な)政府の信用が低下した」

と解釈すべきだろう。

 

トラスの間違いは、

国内の供給能力不足を放置して、

減税だけで個人消費頼み、

輸入品頼みの景気回復とか

日本のバラマキカルトやベーシックインカムカルトが言ってる

動きが不確定な民間“だけ”に頼るような

消費拡大策を採ったこと。

 

減税だけ、

給付金だけみたいなやり方では、

民間企業が国内投資をするとは限らず、

むしろ輸入に頼って

売上伸ばそうとする可能性が高い

(そっちのが安上がり)

ので、

 

それでは国内の供給能力が伸びず、

通貨安とインフレに歯止めが利かなくなる可能性がある。

 

やるなら財政出動して

国内供給能力を賦活し、

同時に個人消費だけでなく

民間投資を惹起するような金の使い方をする必要がある。
 

そうすれば金儲けのタネを蒔くことにも繋がり、

キャピタルフライトも避けられるから、

トリプル安みたいな事態は避けられる。

 

まぁそういう意味で、

 

トラスの経済政策は極めて新自由主義的と言える。
 

ベーシックインカムや減税会みたいな

単細胞な減税政策が新自由主義的な理由はここ。