小6の息子はとてもひょうきんで、家の中ではいつも笑いの花を咲かせている。
さっきもお父さんといっしょにお風呂に入っていて、何だかヘンテコな歌が聞こえてくる。
「津軽海峡冬景色」のメロディで
「♪鼻がつまる鼻がつまる鼻がつまるわ~♪」
なんじゃ?と思っていると
サビの部分もノリノリで
「♪つまる海峡~冬景色~♪」
と歌いながらすっぽんぽんの少年が出てくる。
「津軽海峡冬景色」のメロディで
「♪鼻がつまる鼻がつまる鼻がつまるわ~♪」
なんじゃ?と思っていると
サビの部分もノリノリで
「♪つまる海峡~冬景色~♪」
と歌いながらすっぽんぽんの少年が出てくる。
あとで聞くとそのアホな歌を歌い出したのは夫らしい。夫は意味のない言葉遊びの天才。なかなか独特なセンスだ。
前にも書いたが(「わんぱく低山部」)夫は小学生男子を混沌とした笑いの沼にずぶずぶとワニのように引きずり込む。男の子たちは逃げられない。
前にも書いたが(「わんぱく低山部」)夫は小学生男子を混沌とした笑いの沼にずぶずぶとワニのように引きずり込む。男の子たちは逃げられない。
夫と息子は仲良し親子で嬉しい。
でも実は最初はかなり心配したのだ。
でも実は最初はかなり心配したのだ。
息子が生まれたとき、いや、生まれる前、私は病中での上の子の出産、育児の疲れから回復しておらず、二人目を身ごもる自信がまったくなかった。産んでも育てられないと思っていた。でも夫も私も子どもはもう一人欲しかった。
悩んで悶々とする毎日。
「案ずるより産むが易し」と人はお気楽に言うけれど、ちょっと産んでみてダメだったらどうするのさ。もう引っ込められないんだよ!ーでもやっぱり子どもはほしいのよね。授かるならばーう~んーー
「案ずるより産むが易し」と人はお気楽に言うけれど、ちょっと産んでみてダメだったらどうするのさ。もう引っ込められないんだよ!ーでもやっぱり子どもはほしいのよね。授かるならばーう~んーー
答えが絶対に訪れない悶々ループで私はどこへも行けず。
するとそれまで辛抱強く隣で見ていた夫がある日、ガシッと私の肩に手を置き、こう言った。
「俺が育てるから、つべこべ言わずに産んでくれ!!」
するとそれまで辛抱強く隣で見ていた夫がある日、ガシッと私の肩に手を置き、こう言った。
「俺が育てるから、つべこべ言わずに産んでくれ!!」
つべこべってアータ
と言いそうになったが、けっきょく、それが決め手になって私は第二子妊娠にこぎつけた。
と言いそうになったが、けっきょく、それが決め手になって私は第二子妊娠にこぎつけた。
そうして神さまの御加護があって息子は誕生した。
ところが、だ。
「俺が育てるから」と言った夫はその当時、超絶忙しく、文字通り家にちょびっとしかいなかった。
座布団の上の赤ちゃんを大股でまたいで仕事に出ていって夜中まで帰ってこない。仕事で何だか大きな役についていたらしいけど私ゃ知ったこっちゃない。こちらは二人の子育てでいっぱいいっぱい。それぞれが精一杯の日々だった。今思えばよくまあ破綻しなかったものよと思う。
ところが、だ。
「俺が育てるから」と言った夫はその当時、超絶忙しく、文字通り家にちょびっとしかいなかった。
座布団の上の赤ちゃんを大股でまたいで仕事に出ていって夜中まで帰ってこない。仕事で何だか大きな役についていたらしいけど私ゃ知ったこっちゃない。こちらは二人の子育てでいっぱいいっぱい。それぞれが精一杯の日々だった。今思えばよくまあ破綻しなかったものよと思う。
この嘘つき男、いえ、夫は、たまにしか息子と時間を過ごさなかったので、息子は「誰だこの大きい男は」と思ったのだろう、夫の前では見事に言葉を発しなかった。それは二歳ぐらいまでそうで、夫は長い間、息子のことを「格別おとなしい子」と思っていたらしい。息子は夫以外の人には普通に賑やかに愛嬌を振りまく赤ちゃんだったんだが。
「この子はお父さんと上手くコミュニケーションとれるのだろうか」と息子の将来を本気で心配した。
でも今やそんな心配をしたことも忘れているほど、父と子は仲がいい。いつもふざけてバカなことを言っている。夫は息子に私にはとうていできないような「男っぽい」扱いをしている時もあれば、まだまだ幼い息子に「Kちゃんー」と優しく声をかけることもある。二歳の時「大きな男の人」に凍りついていたのが嘘のように息子もうちとけている。
そういう姿を見るにつけ
「あーよかった」
としみじみ思う。
そういう姿を見るにつけ
「あーよかった」
としみじみ思う。
よくしゃべり、よくふざけ、よく笑う家族。結果として、息子の誕生は福音以外の何物でもない、と今は言える。
五つ上のお姉ちゃんが小学生の時に弟に言っていた。
「Kちゃん、Kちゃんはお父さんの大嘘のお陰で生まれて来たんやで。よかったなー」
「Kちゃん、Kちゃんはお父さんの大嘘のお陰で生まれて来たんやで。よかったなー」
この頃、嘘つき太郎は今も忙しいけれど、以前ほど無茶もせず、子どもらともよく話し、よいお父さんだと思う。彼の名誉のために付け足しておくと。
これは京都市長選に出馬を表明している福山和人弁護士のパートナーおかねともこ(イラストレーター)が、「家族の目から見たふくちゃん」を綴ったエッセイです。
2018年府知事選のときの「ふくふく家族」と同様、リラックスしてお楽しみください。
前回のシリーズはこちら→


