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~ 昼魔の美月 ~
(昼魔)
施設から飛び出し、一人孤独に雪の夜を
彷徨う様に歩く女性美月がいた。
やがて、美月は賑やかな繁華街に辿り着く。
そこは裏組織が支配する夜の世界だった。
美月は、その繁華街で名前美月の様に
光り輝こうとする。
美月は昼の世界を捨て、夜の世界で生きる
決意をするが・・・
♪月がわたし♪alan(小説 opening)
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(小説文)
沙紀が去ってから半年後。
部屋には美月独りだけが
暮らしていた。
真夜中に美月は窓を開け
夜空を見ていた。
美月はトーマスを抱いていた。
(今日は満月・・・、綺麗・・・。
満月の光が眩しくて
星が殆ど見えない。
満月の光が大地を照らしている。
昼間は太陽の光で
見えにくいけど、
夜になると光輝く満月。
今の美月は、昼間の満月。
満月どころか欠けた月。
昼は太陽の光で見えにくいから
存在していないみたい。
それが今の美月。
美月にとって昼間は、まるで地獄の様だわ。
他の孤児達から未だに煙たがれている。
そして、学校のクラスメイトからも
煙たがれている。
元々美月は地味で目立たないから
みんなは、私を幽霊の様に
見ている・・・。
だから、美月にとって昼間は、
悪魔が現れる地獄の様みたい。
だから、”昼間”ではなく
”昼魔”の様だ・・・。
今までは、沙紀ちゃんや
信之君がいてくれたから
良かったけど・・・。
先月、信之君も教会を出たわ。
里親が見つかったから。
だから、私には友達がいない。
また独りになった。
これからは、美月独りで
生きていくしかないわ。
誰にも頼らず、独りで生きていく
しかない・・・)
学校で・・・。
昼食時間、美月は独りで
弁当を食べていた。
(以前はいつも信之君と
昼食食べていたけど、
信之君がいなくなってから
毎日1人で昼食を食べる様に
なったな。
信之君、里親の元に行く為に
他の高校に転校した・・・。
私はまだ一度も養子にしたいという
里親が見つかっていない。
他の孤児達は、少なくとも
1回は里親候補がいるけど・・・。
やはり、私は昼魔の月の様に
目立たないのかな・・・。
大人になっても、美月はずっと
誰からも注目されず
静かに生きていくのかな。
きっとそうだろうな・・・
私が20歳になったとき、
教会を出なければならない。
そしたら、何処で暮らそうかな。
パパと一緒に住んでいた
富士宮市に戻って暮らそうかな。
あの古いアパートで暮らそうかな。
っていうか、あの古いアパート
今でも残っているのかな。
美月が幼稚園の頃から
既に倒壊しそうなくらい
古くなっていたからな・・・)

それから数日後。
バレンティーナ教会に
一人の中年女性がやって来た。
(ここだわ、バレンティーナ教会・・・。
この教会にあの子は預けられている)
中年女性は教会に入った。
「あのう?どちら様でしょうか?」
シスターのマーガレット・琴葉が
対応していた。
「私、佐々木玲子といいます。
こちらの教会に娘が預けられていると
聞きました」
「娘さんですか?」
「はい、佐々木美月といいます」
「え!?美月ちゃんのお母様ですか!?}
「はい、美月は何処にいますか?」
「今、美月ちゃんは学校に行っています」
「そうですか、それでは待たせて
もらいます」
「はい・・・」
中年女性は、待合室で待っていた。
マーガレット・琴葉は、教会長室にいた。
「何ですって!?美月ちゃんのお母様が!?
それは本当なの!?琴葉」
「はい、本当です、教会長。
今、待合室で待っています。
美月ちゃんと会うつもりです」
「どうして今になって・・・」
「どうしますか?教会長?
美月ちゃんをお母様に
引き取らせますか?」
「そうね、もし本当に実の母親なら
私達に断る権利はないわ」
その時、教会長室に他のシスターが
入って来た。
「教会長!大変です!」
「どうしたの?そんなに慌てて」
「見知らぬ男性が強引に
教会に入って来ました!」
「見知らぬ男性?」
「はい、佐々木玲子さんを
連れ戻しに来たそうです!」
「何ですって!?」
「ちょっと!放してよ!」
「玲子様、竜造寺会長からの
指示で来ました。
玲子様を連れ戻す様にと」
「待ってよ!ここに娘がいるのよ!
私の娘がいるのよ!
娘も一緒に連れて行くわ!
吉原に連れて行くわ!」
「それは許されません、玲子様」
中年女性は、男性に腕を掴まれ
無理矢理車に乗せられた。
教会長メアリー・菊川と
マーガレット・琴葉が
外に出て来た。
「ちょっと待ってください!」
車はそのまま走り去った。
「琴葉、美月ちゃんのお母様は
あの車に誘拐されたの?」
「はい、間違いありません。
確かお母様は、娘を吉原に
連れて行くと言っていました」
「吉原?」
夕方、美月が教会に帰って来た。
美月は、教会室に呼ばれた。
「美月ちゃん、実は今日ね
美月ちゃんのお母様が
教会にお見えになったのよ」
「え!?ママが!?」
「名前は佐々木玲子さんよ」
「確かにママの名前です」
「でも、突然見知らぬ男性が
お母様を無理やり車に乗せて
去ってしまったわ」
「そんな!? そしてママは何処に!?」
「お母様は確か吉原とか言っていたわ」
「吉原?」
「琴葉、吉原ってもしかして
京浜・吉原特別区の事だと思うわ」
「教会長・・・」
「確か横浜市沿岸にある政府公認の
特別区だと聞いているわ。
沢山のお店が立ち並ぶ繁華街で
眠らない街とも言われているわ。
きっと、吉原とは
京浜・吉原特別区の事かも
知れないわ」
(京浜・吉原特別区?
そこにママがいるの?
っていうか、ママ、生きてたんだ・・・)
真夜中、美月は窓を開け
夜空を見ていた。
(今夜は曇りだから月が見えないなぁ。
それにしても、教会にママが来た・・・。
ママと別れてからどれくらいだろう。
美月が幼稚園の頃だった。
今でも覚えている・・・。
ママが玄関を開ける音、
ポストに鍵を入れる音、
そして、ママの歩く音。
今でも覚えている。
いつかママは帰って来ると
祈っていたけど・・・。
もう美月の元には戻って
来ないと思っていたけど・・・。
ママは戻って来た。
美月のところに・・・。
ママ、今すぐママに会いたい・・・)

その頃、とある場所で。
「竜造寺会長、玲子様を連れて
参りました」
「ご苦労、下がっていいぞ」
「失礼しました」
男性はオフィスから出た。
「玲子、俺の許可なしに
外に出るなと言ったはずだ」
「貴方、私は今日娘に会う為に
バレンティーナ教会に行ったわ。
娘はその教会に預けられていたわ。
私は、美月を吉原に連れて
帰ろうとしたのよ」
「でも玲子、お前は元夫と
離婚したんだろう?
つまり、お前は娘を捨てた事に
ならないか?」
「捨ててないわ、いつか娘を
引き取ろうと思っていたわ」
「今更、母親面しても娘は
お前を母親だと認めるか?
自分を捨てた母親なんて
信じられないかも知れないぞ」
「だから私は娘を捨ててないのよ!」
「孤児として預けられたという事は、
父親にも捨てられたのか?」
「いいえ、元夫は病気で死んだと
聞いているわ」
「玲子、お前は最低な妻で
最低な母親だな。
夫と娘を捨てたんだ。
自分の欲望のせいで
かけがえのない家族を
捨てたんだ。
今更、娘がお前の会いたいなんて
思う訳ないだろう」
「ええ、確かにそうかも知れないわ。
でも、娘も大きくなっているわ。
今なら娘だって私の気持ちを
理解してくれると思うわ」
「さあ、どうかな・・・」
「お願い、貴方、もう一度私に
バレンティーナ教会に行かせて」
「駄目だ、俺は他人の娘を
迎える程お人好しではないぞ。
裏社会で生きる男だ。
もし、どうしても娘を迎えるなら
娘を人身売買するかも知れないぞ」
「辞めて!そんな事!
そんな事したら絶対許さないわ!」
「それなら娘の事は諦めろ、玲子。
おい!玲子を監禁しろ!
しばらく外に出すな!」
「了解しました、竜造寺会長」
玲子は、真っ暗な部屋に監禁された。
玲子は窓から外を見ていた。
(美月・・・、美月に会いたい・・・)
(ママ・・・、ママに会いたい・・・)
美月は窓から外を見ていた。
次の日、美月は教会長室に呼ばれた。
「美月ちゃん、あれからお母様から
全く連絡が無いわ」
「そうですか・・・」
教会長のメアリー・菊川が
美月の隣に座った。
「美月ちゃん、お母様に会いたいでしょ?」
「いいえ、会いたくありません。
ママは私とパパを捨てた人です。
そんな人には会いたくないし
母親とも思いたくありません。
パパは亡くなりました。
これで私には、身内は誰もいません。
生涯孤独です。
これからは、自分の力で生きていきます」
「美月ちゃん、世の中そんなに
甘くないわよ。
独りで生きていく事が
どんなに大変な事か・・・。
それに独りでは辛いわ。
貴女には、お母様が必要だと思うわ」
「結構です・・・」
美月は立ち上がった。
「美月ちゃん・・・」
「失礼します、教会長」
美月は、深々とお辞儀をすると
教会長室から出て行った。
その日の夜。
(会いたい・・・、ママに会いたい・・・)
その日の夜、美月は朝まで起きていた。
教会長室で。
「琴葉、最近美月ちゃんの様子はどう?」
「いつもと変わりません、教会長。
朝、学校に行って、夕方には帰って来ます。
他の孤児との繋がりは一切ありません。
いつも、独りで行動しています」
「そう・・・、何とかお母様と
連絡付かないかしら?」
「そうですね、教会長」
それから数日後。
学校から帰えると
美月は大聖堂で賛美歌を
聞いていた。
♪Going Home♪Libera(効果音)
(綺麗な歌声・・・、
これが最後に聞く賛美歌・・・。
本当にいつ聞いても心が
落ち着くわ・・・。
ありがとう、聖歌隊の孤児達・・・。
いつか貴方達に良き里親が
見つかります様に・・・)
美月は祈った。
そして、その日の夜。
美月は真っ暗な部屋にいた。
「トーマス、ごめんね・・・。
貴方を一緒に連れてはいけないわ。
私、今夜教会を出るわ。
そして吉原というところに行く。
ママはきっとそこにいるかも
知れない。
私、どうしてもママに会いたいの。
いつか必ず貴方を迎えに来るわ。
それまで待っててね、トーマス」
美月は、トーマスを抱き締めた。
美月は、裏口から外に出た。
(寒い・・・、来月から12月ね・・・)
美月は、教会を見上げた。
(パパと死に別れてから
ずっと暮らしてきた・・・、
バレンティーナ教会・・・。
メアリー・菊川教会長、
マーガレット・琴葉、
その他のシスター・・・
そして、沢山の孤児達・・・
今までお世話になりました。
どうか皆様に神のご加護が
あらんことを・・・)
美月は教会に向かい祈った。
それから美月は、教会を後にした。
(今日から美月は独りで生きて行く。
いいえ、ママに会いに行く。
そして、ママと一緒に暮らす。
ママ、待っててね、今ママの元に
向かうから・・・)
美月は、真夜中の道を小走りで
進んでいった。
しばらくすると、夜空から小雪が
降り出した。

continues・・・
♪悲しみは雪に眠る♪alan(小説 ending)
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●月夜のfantasy的な小説●
♪Wanderin' Destiny♪globe(blog theme)


