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~ 夏の日のオールディーズ~
(夏の日)
新田貴之は、父親、義理母、義理妹の4人家族。
実母は病死し、貴之は父親と暮らす。
やがて、父親が再婚する。
成績が悪く、高校を中退し無職となる。
無気力で暮らしていた貴之。
そんなある日、貴之の人生を変える大事件が起こる。
貴之が人を殺害し、刑務所に行かされる。
そこで、心身ともに苦痛を味わう毎日。
出所後も苦痛に耐えきれず、精神病院に行く。
そこで、貴之は運命的な出会いを交わす。
♪愛が欲しい♪岡村孝子(小説 opening)
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(小説文)

明義は、面会室に来ていた。
「え!?貴之が面会を拒否している!?」
「ええ、もう家族には会いたくないと
言っています。
なので、どうかお帰り下さい」
「そんな・・・」
刑務官が面会室から去った。
「それでは新田さん、帰りましょうか?
ご自宅までお送りしますよ」
「・・・・・」
明義と運転手の佐藤は
面会室から出た。
車内で。
「新田さん、先日も言いましたが
出来るだけ早く他の土地に
引っ越して下さい」
「佐藤さん?何故私に引っ越して
欲しいんですか?」
「それは・・・、言えません。
今は言えませんが、いつか必ず
言いますので。
新田さんが引っ越さなければ
ならない理由を、いつか必ず
お話します」
「いいえ佐藤さん、今話して下さい。
私が引っ越さなければならない
理由を今話して下さい」
「・・・・」
佐藤はしばらく考えた。
「わかりました、それでは新田さんの
ご自宅でお話しします」
明義の自宅に着いた。
「どうぞ佐藤さん、お上がり下さい」
「失礼します」
佐藤は、ゆっくりと椅子に座った。
「佐藤さん、どうぞお話しください」
「わかりました、ではお話します。
何故、新田さんがこの土地から
引っ越さなければならないのか。
その前に、新田さんの元奥様
桐子様の事を話さなければ
なりません」
「桐子の事を?」
「はい、実は桐子様は病死
したのではありません」
「何ですって!?桐子は病死じゃない!?
どういう事ですか!?佐藤さん」
明義は驚きを隠せなかった。
「桐子様は、安楽死したんです。
安楽死の薬を桐子様に飲ませたのです」
「安楽死の薬を飲ませた!?」
「はい、私は社長の命令で
知り合いの薬剤師に
安楽死の薬を作る様
依頼しました。
つまり、桐子様を意図的に
殺す為に・・・」
「何ですって!?桐子を殺す為に!?
何の為にそんな事を!」
「社長の都合の為です。
社長は、志乃様をどうしても
バイオリニストにしたいと
思っています。
それは、娘としてではなく
あくまで、わが社の利益の為に。
志乃様を、母の死を乗り越えた
悲劇的なバイオリニストにする為に、
意図的に母親の桐子様を
安楽死の薬で殺しました」
「それって犯罪ではありませんか!
小野寺さんは殺人犯ではありませんか!」
「社長は、自分の利益になる事なら
何でもする人なんです。
桐子様の担当医にもお金を払い、
嘘の診断書まで書かせました。
志乃様の死因はあくまで病死だと。
今度は新田さん、貴方が桐子様の様に
殺されるかも知れません。
貴方が、志乃様に会って
貴之さんの事を話してしまうと
志乃様はバイオリニストを
諦めると思います。
でも、そうなったら社長にとって
都合が悪くなるのです。
だから、邪魔になる貴方を
殺そうとしているかも
しれません。
それで私は、新田さんにしつこく
引越しする様に言っているんです」
佐藤は椅子から立ち上がり
明義に向かって土下座した。
「新田さん、お願いします。
どうかこの土地から去って下さい。
貴方を、桐子様の二の舞に
なって欲しくありません」
明義は、ゆっくり佐藤の肩に
手を置いた。
「佐藤さん、私は引っ越すつもりは
ありません。
小野寺さんにとって私が邪魔なら
私も桐子の様に殺せばいい」
「新田さん・・・」
「でも、私だってそう簡単には
殺されませんよ。
決して小野寺さんの都合通りには
させませんよ。
小野寺さんは私の最愛の妻
桐子を殺したなら、
それを許す事は出来ません。
小野寺さんはいずれ、
志乃も殺すかも知れないし、
貴之が釈放されたら
今度は貴之も殺すかも
知れません。
志乃も貴之も私の大事な
子供なんです。
例え私が小野寺さんに
殺されても、志乃と貴之だけは
絶対に守りますよ。
だから、私は引っ越しません。
消して逃げませんよ」
明義は佐藤を睨んだ。
「佐藤さん、どうかお帰り下さい。
もう二度と私に近付かないで下さい。
絶対に志乃に会いません。
志乃に真実を伝える事もしません。
桐子が殺された事や、貴之が殺人犯になって
刑務所に収容されている事も
志乃には言いませんので」
「わかりました・・・」
「その代わり、志乃をどうか
バイオリニストに育てて下さい」
「はい・・・」
佐藤は去った。
(小野寺宗一郎!何て男だ!
桐子も志乃も結局小野寺にとって
自分の都合でしかないのか!
ふざけるな!小野寺宗一郎!
許さんぞ!俺はお前を絶対に
許さんぞ!)
「ドン!」
明義はテーブルと強く叩いた。

貴之が実験室で叫んでいた。
「ギャ~~~!ギャ~~~!
辞めてくれ~~~!」
柳沢は貴之の目の前で
兎をナイフで差していた。
「柳沢先生!もうこれ以上
囚人を苦しめないで下さい!」
「八城先生、この実験はティカーナ刑
といって囚人に対しての刑罰なのよ。
囚人が刑罰を受けるのは当然でしょ。
罪を償わなければならないわ。
囚人301号に殺された女性だって
同じ苦しみで死んだのよ。
だから、囚人301号にも同じ苦しみを
味合わって貰わないと駄目よ。
だからといって、囚人を殺す訳には
いかないわ。
だから、殺さない程度で
囚人に刑罰を下しているのよ」
「だからって、ここまでしなくても
良いではありませんか?」
八城は涙を流した。
「八城先生、これは政府からの
依頼でもあるのよ。
貴女だって政府からティカーナ刑を
依頼されている精神科医の1人なのよ。
従いなさい・・・」
柳沢は、再びナイフで兎を差し始めた。
「ギャ~~~~!辞めてくれ~~~!」
実験は終わった。
貴之は放心状態になっていた。
「八城先生、実験は終わったわ。
刑務官を呼んでちょうだい」
「はい・・・」

刑務官が実験室に入って来た。
「囚人301号の実験が終わったわ、
独房に連れて行ってちょうだい。
そして、囚人303号を連れて来て」
「わかりました、柳沢先生」
貴之は、刑務官に引き吊られ
実験室から出された。
「八城先生、兎を処分して
別の兎を連れて来て。
次に囚人303号の実験を
始めるから」
「はい・・・」

志乃は、音大でバイオリンを
演奏していた。
♪パッヘルベル♪(効果音)
志乃の周りには、多くの音大生が
集まり志乃の演奏を聞いていた。
女子の音大生が志乃の噂をしていた。
「やっぱり志乃さんって凄いわね。
うちの大学で志乃さんより勝る
バイオリン奏者って居ないんじゃない?」
「そうね、多分居ないでしょうね」
「そうかしら?」
女子の音大生の後方から声が聞こえた。
「え?」
「バイオリンが弾けるのは
小野寺志乃だけではないわ」
「飯島美鈴さん・・・」
「私だって小野寺志乃に負けないくらい
バイオリンを演奏できるわ。
ただ、小野寺志乃は家柄が
小野寺家で音楽の家系だから
目立っているだけよ。
噂では、小野寺宗一郎と志乃は
本当の親子ではないみたいだし」
「え?本当なんですか?飯島さん」
「噂で聞いたのよ、元々は他家の
人間みたいだわ。
以前は、新田志乃と呼ばれていた
みたいだわ」
「知らなかったです・・・」
音大生は動揺していた。
同じ音大生の飯島美鈴は、
話を続けた。
「それに、志乃には兄がいる
みたいだわ。
その兄は新田貴之と言って
人を殺したらしいわ」
「お兄さんが殺人犯?」
「大学の職員が噂していたわ。
志乃の父親小野寺宗一郎に
口止めされているみたいだけど。
いくらバイオリンの才能があっても
身内に殺人犯が居たら評判悪いでしょうね。
バイオリニストにはなれないわ。
可哀そうに・・・」
飯島は立ち上がり去った。
志乃は、演奏しながら
飯島を見ていた。
(飯島美鈴さん・・・。
あの子も私と同じバイオリン学科だわ。
私が中学時代や高校時代にも
同じコンクールに出ていた。
私にとってはライバル・・・。
負けられない・・・)
講義が終わり、志乃が音大から
出て来た。
「小野寺さん・・・」
志乃の後方から声が聞こえた。
「飯島さん・・・」
飯島は微笑んだ。
「今日の演奏も素晴らしかったわ」
「ありがとうございます、飯島さん」
「本当に小野寺さんは凄いわ。
バイオリンの才能があるわ。
このままだと、いずれ一流の
バイオリニストになれると思うわ」
「そんな・・・、まだまだですよ」
「でも、私は小野寺さんがとても
お気の毒に思います」
「お気の毒?どういう事ですか?
飯島さん・・・」
飯島は、志乃に顔を近づけて
小声で話した。
「噂で聞いたけど、志乃さん
お兄さんが居るみたいね」
「お兄さん?」
「そのお兄さんが人を殺して
今、刑務所に収容されて
いるみたいね」
「え!?貴之兄ちゃんが
人を殺した!?」
「あら?志乃さん妹さんなのに
知らなかったんですか?
大学の職員が噂していましたよ」
(貴之兄ちゃんが人を殺した・・・?)
「本当にお気の毒です。
いくらバイオリンの才能があっても
身内に殺人犯が居たら
バイオリニストは難しいですから。
それじゃ」
飯島は去った。
志乃は愕然としていた。
(貴之兄ちゃんが人を殺したなんて
そんな事絶対にあり得ないわ。
あんなに優しいお兄ちゃんが。
きっと何かの間違いよ・・・)
continues・・・
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