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~ サンタをよろしく ~

                  (サンタ)

 

 

   数々の犯罪を犯した男性。

   その為に最愛の者を失う。

   絶望しながら男性は自らの

  罪を償う為、人に尽くす事を誓う。

  彼はサンタになった。

  罪を償い、神に許しを得る為に・・・。

  自分の人生を取り戻し、愛する人と

  再会する為に・・・

 

 

 

 

♪Happy Christmas♪(小説 opening)

 

 

 

 

 

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           (小説文)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

横田刑務所。



琴美は面会室に来ていた。

「お兄ちゃん、先日花梨さんが

面会室に来たのに会わなかった

みたいね?」

「花梨にはもう会わない事に

したんだよ」

「どうして?お兄ちゃん今でも

花梨さんの事好きなんでしょ?」

「好きだけど、いや、好きだからこそ

これ以上花梨の悲しい顔を

見たくないんだ。

これ以上花梨を苦しませたくない。

花梨は俺と付き合っている限り

苦しまないといけないんだ。

俺は、いつでも花梨の幸せを

祈っているんだ。

俺の分まで幸せになって

欲しいんだ。

花梨には、明るい未来が

あるんだから・・・」

「お兄ちゃん・・・」

「それより琴美、

お前今どうしているんだ?

本当に大学を諦めたのか?」

「うん、大学は諦めたよ」

「琴美・・・」

「もういいのよ、これから

私は自力で生きていかなくては

いけないのよ。

自分で働いて稼がないと

いけないのよ。

大学になんかいけないわ」

「だからお兄ちゃんのお金を

使えばいいじゃないか」

「嫌よ、私もう誰にも頼りたくない。

一人で生きていくと決めたのよ」

「それじゃ琴美は今仕事して

いるのか?」

「ええ、仕事しているわ」

「どんな仕事だ?

コンビニの店員とか?」

「違うわ、コンビニの給料だけでは

生活出来ないわ。

クラブで働いているのよ」

「クラブで?」

「ええ、ホステスよ」

「琴美?お前そんなところで

働いているのか?」

「コンビニに比べて給料が

いいのよ、十分生活出来るわ」

「だからって!」

「私、バイト経験無いし・・・。

クラブなら仕事だって簡単よ。

お客さんにお酒注いだり

お客さんの話を聞くだけで

いいのよ」



「すまない・・・」

「何故お兄ちゃんが謝るの?」

「だって、琴美にそんな仕事を

させてしまって・・・」

「何言っているのよ、

クラブでの仕事は私が

自分で選んだのよ。

お兄ちゃんは悪くないわ」

「お兄ちゃんが側にいれば

琴美は今頃大学生だったのに」

「だから、もう大学の事は

いいのよ。

それより、お兄ちゃん?

刑務所はどう?

何か拷問とかされてない?」

「拷問?」

「よくわからないけど、

刑務所っていかにも拷問の様な

場所というイメージがあって」

「ドラマや映画の話だよ。

それにお兄ちゃんは、

毎日独房に入れられているんだ。

何もない所で1日中何もしないで

生きているよ。

やる事と言ったら、過去の過ちを

反省しているだけさ・・・」

「お兄ちゃん・・・」

「琴美?花梨とは今でも

会っているのか?」

「時々会っているよ。

花梨さん私の事が心配みたい」

「これ以上花梨に会うな」

「どうして?」

「花梨は俺達の家族では

無いんだ。

お兄ちゃんの事は花梨には

関係ないんだ」

「うん、そうだね・・・」

「琴美もあまり面会に来るな。

誰かが見ているかも知れないぞ。

そしたら、犯罪者の知り合いだと

思われて白い目で見られるから」

「だって、ここにはお兄ちゃんが

いるから・・・」

「お兄ちゃんの事は心配するな。

お兄ちゃんは犯罪者なんだ。

心配する必要なんてないんだ。

自分の事を心配しろ。




刑務所ではスマホは使えないから

pearlは送れない。

だから、これからは手紙で

やりとりしよう」

「手紙・・・」

「そしたら、琴美だって

面会室に来なくて済むから」

「お兄ちゃん・・・」









夜、


クラブ・マリンでは。


「いらっしゃいませ、高樹様」

「よう!琴美ちゃんじゃないか!?

よく来てくれたね!

ささ、ここに座って」

「それでは失礼します」

琴美は高樹の側に座った。


「高樹様酷いですわ」

「酷い?どういう事だ?冬美?」

「いつもなら私をご指名してくれるのに

どうして私じゃなくて新人の

琴美をご指名したんですか?」

「ああ、悪い悪い。

琴美ちゃんの事が忘れられなくて

つい琴美ちゃんをご指名して

しまったよ、アハハハ」

「それじゃ私はお払い箱ですか?」

「そんな事はないよ、冬美ちゃんも

綺麗だよ、僕の女神様だよ」

「あら、お上手ですこと」



琴美が酒を注いだ。

「高樹様、どうぞ」

「ありがとう、琴美ちゃん。

琴美ちゃんも仕事慣れてきた様だね」

「いいえ、そんな事ありません。

未だって失敗の連続です。

先日は、転んでお酒を零して

しまいましたから」

「仕方ないさ、まだまだ新人なんだから。

僕は琴美ちゃんを応援しているよ」

「ありがとうございます、高樹様」

高樹は、琴美の足を触った。

「高樹様・・・」

「琴美ちゃんはまだ若いのに

本当に綺麗だね、身体は大人だね」

「そんな事ありませんよ」

「僕は本当に琴美ちゃんに惚れて

しまったよ」

「そんな・・・」

「高樹様、それじゃ私が嫉妬

してしまいますよ」

「アハハハ、ごめんごめん。

勿論、冬美ちゃんにだって

惚れているよ」

「本当にお上手ですこと」



(琴美、完全に高樹様を虜に

しているわ、まだ子供だけど

この子油断できないわ。

確かに子供の割には、

既に大人の女としての気質がある。

他のお客様からも人気があるし。

油断していたら、もしかすると

琴美がNo1ホステスになるかも

知れないわ・・・。

それよりも、琴美に高樹様を

取られてしまうわ。

高樹様は、私が狙っている

獲物なんだから。

資産家の御曹司なんだから・・・。

結婚出来たら、まさに玉の輿だわ・・・。

だから、絶対に琴美に高樹様を

取られる訳にはいかないわ・・・)







朝。

琴美は仕事を終え、

家に向かっていた。


「あれ?もしかして琴美ちゃん?」

「あ、花梨さん・・・」

琴美は花梨と偶然出会った。



「琴美ちゃん、こんな朝早くから

何処に行っていたの?」

「仕事です」

「仕事?」

「はい、クラブでホステスやっています」

「何ですって!?」

「ホステスは給料がいいんですよ。

十分生活出来るので」

「だからって、そんなところで

働くなんて」

「綺麗事なんて言って

いられませんよ。

生きる為ですから。

それに、深夜の仕事の方が

安心できるんです」

「どういう事?」

「昼間だと人が沢山います。

私が人殺しの妹だと知って

いる人もいるかも知れません。

でも、深夜だと人も少ないので・・・」

「琴美ちゃん・・・」

「だから花梨さん、私の事は

心配しないで下さい。

こう見えても私結構強いんですよ。

一人でも生きて行けますよ。

それじゃ、失礼します」


琴美は去った。


(琴美ちゃん・・・)








横田刑務所。


英二は、八城の診察を

受けていた。

「熊田さん、診察の時は

名前で呼びます」

「はい・・・」

「私にはどうしても信じられません。

貴方の様な人が殺人だなんて」

「・・・・・」

「きっと殺意は無かったと思います」

「勿論です、殺意なんて全く

ありませんでした。

あの日、二階堂邸に侵入して

現金だけを奪って帰ろうと

しただけなんです。

そしたら、キッチンに千穂さんが居て

電話していました。

俺は、そのまま裏口から出ようと

しましたが、千穂さんに気付かれて

しまいました。

千穂さんが警察に通報しようと

したので、俺は必死に止めました。

その時、千穂さんと取っ組み合いに

なってしまいました。



そして、誤ってナイフが千穂さんの

胸に刺さってしまいました。

流血が酷かったです。

千穂さんは、そのまま倒れて

死んでしまいました。

俺は、動揺しながらも

必死に裏口から逃げました。



殺意なんて全くありませんでした。

本当なんです。

確かに俺は殺人犯ですが、

でも、決して殺意があった

訳ではありません。

信じて下さい・・・」


「信じますよ、貴方は嘘を言う

人には見えませんので」

「ありがとうございます・・・」




八城は立ち上がって窓から

外を眺めた。

「熊田さん、貴方は今までずっと

妹さんと2人暮らしだったのですか?」

「はい、子供の頃両親が離婚して

母親が家を出ました。

それからは、父親と妹の3人で

暮らしていましたが、

父親が病気で他界した後は、

妹と2人で施設で暮らして

いました。

やがて、施設を出てアパートで

暮らす様になりました。

とにかく俺は、妹を支えようとして

工場で働きました。

俺が妹の親代わりになろうと

思っていました。

一生妹を守ろうと・・・、



しかし・・・、

俺があんな事をして

しまって・・・」


英二は涙を流した。

八城は英二を見つめていた。



(熊田英二・・・、この人は

元々悪い人間ではない・・・。

とても妹想いの優しい兄。




彼ならきっと罪を償って

人生をやり直せるかも

知れないわ。

人の為に尽くせる人間に

なれるかも知れない。



彼ならきっと、あの養成所に行って

サンタクロースになれるかも

知れないわ。

ジャネット・ワトソンさんに

お願いしてみようかしら・・・)



「熊田さん、貴方何か夢はありませんか?

将来やってみたい仕事とか」

「夢ですか?俺は犯罪者ですよ。

犯罪者に将来なんてありません。

夢を持ってはいけないんです」

「でも、犯罪を犯す前は

夢はありましたよね?」

「はぁ・・・」

「何ですか?教えてもらえませんか?」

「看護師です・・・」

「看護師ですか、それはとても

素晴らしい夢ですね。

貴方は妹想いで心が優しいから

きっと看護師に向いていると

思いますよ。

将来看護師になって、

人の為に尽くすのです。

そしたら、貴方は神様に

罪を許されるでしょう。

そして、貴方は救われると

思います」

「犯罪者を救うなんて

あり得ませんよ、八城先生」

「人の為に尽くして

罪を償えば、犯罪者では

ありませんよ。

救い主ですよ。

まさにサンタクロースです」

「サンタクロース?」

「はい、貴方はきっと

サンタクロースになれますよ。

サンタクロースは人を幸せに

しますから・・・」

「はぁ・・・」









♪christmas eve♪(挿入曲)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

continues・・・

 

 

 

 

 

 

♪戦場のメリークリスマス♪(小説 ending)

 

 

 

 

 

 

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●月夜のfantasy的な小説●

 

 

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