モンテッソーリの「感覚教具」というと、「ピンクタワー」「茶色の階段」などに続いて、この「二項式」「三項式」の教具を思い出す方も多いかもしれません。
モンテッソーリの幼稚園では、最初にこの二項式は立体パズルとして提示されます。
赤・青・黒で塗った木製の立方体と直方体、8個が木箱に収められ、特定の方法で組み合わせていきます。
この二項式の立体は、ピンクタワーなどとは異なり一つの性質だけを切り分けているわけではありません。色が1つのブロックもあれば、2つのブロックもあり、立方体もあれば直方体もあります。大きさだけが違うピンクタワーに比べ、色・形・大きさも違うこの二項式の立体は複雑で、組織立った思考が必要となります。
モンテッソーリ教具の素晴らしいところは、自己訂正ができるところ。
誰かに「ここが違うよ」と言われることなく、自ら訂正すべきところを自然と教具から教えてもらえるのです。この二項式の立体も、正しく組み合わせて、初めて箱の中にピッタリと収まります。
そしてこの「立体パズル」として幼児期に親しんだ「二項式」の感覚教具は、小学生になると算数教育の幾何分野の教具として再登場します。
それが「二項式の代数化」と言われるこちらのおしごと。
この立体を式で表したものがこちら。
このカッコ内を展開していくと、各立体の体積に相応していくことが分かります。
赤の立方体、赤黒の直方体をそれぞれ以下のようにあらわすことができます。
青黒の直方体、青の立方体は以下の通りです。
すべて展開したのがこちら。
小学生になりどうしても紙面上での計算が先となっている娘ですが、彼女の好きなパターンは、モンテッソーリの教具を持ち出して自分の書いたものが合っているか確認すること。幼児期から親しんできたモンテッソーリの教具への信頼は絶大なようです。
幼児期にはこれらの立体を分解して組み立てることを繰り返すという作業だったのが、児童期となると代数の概念を具体的かつ視覚的に理解することで、自然と中学校で習う「数学」への準備となってきます。
我が家はこの6年間、結局一度も学校の宿題以外には参考書やワーク類といった類いを導入することなくここまで来てしまいましたが、娘にとっては現実に存在する具体物と交わることで、感覚的に理解することから始め、一般化、そして抽象化と徐々に複雑な概念を身に付けていったような気がします。
そして何よりもこのプロセスが彼女にはお気に入りの時間だったようです。
ノルマも他者からの訂正も一切存在しないモンテッソーリ教育。
アカデミックな要素をめぐっての親子の不要な対立がなかったからこそ、お互い楽しい時間だったのかもしれません。
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