第23回東京国際映画祭受賞結果 | ゴダールよりもデ・パルマが好き

ゴダールよりもデ・パルマが好き

映画監督を目指す大学生、清原悠矢の映画生活

第23回東京国際映画祭の各賞が発表された。
今年は過去最高のコンペティション部門と呼ばれるほど、
作品の質が高かったらしい。日本での公開が決定している
スター俳優の出演する映画がコンペに選ばれていたりもした。
結果的には、いつも通りの受賞結果なのだが。

下馬評で並べてみると、だいたいこんな感じ。
(あくまでも、ブログなどの感想を参考に)

(高評価)「ビューティフル・ボーイ」「ブライトン・ロック」「サラの鍵」「一枚のハガキ」
(次点)「僕の心の奥の文法」「わたしを離さないで」
(賛否)「一粒の麦」「ブッダ・マウンテン」
(平均)「そして、地に平和を」「隠れた瞳」「鋼のピアノ」
(劣る)「フラミンゴNo.13」「海炭市叙景」「小学校!」「ゼフィール」

結局、「サラの鍵」が観客賞を受賞した以外は
「ブッダ・マウンテン」のような作家性の高い作品が選ばれた。

(トレイラーはTIFFの公式HPで見れます)

東京サクラグランプリ「僕の心の奥の文法」

1963年イスラエル。束の間の平和な時期を背景に、
数年前から成長することをやめた少年アハロンの物語。
バラバラな家族に反抗するため?それとも時代に抵抗するため?
コミカルな要素も加えながら、思春期の心の揺れを寓話的に描く。

この作品が長編第2作となるニル・ベルグマン監督は
前作「ブロークン・ウィング」でも同賞を受賞。



審査員特別賞:「一枚のハガキ」

戦後の惨禍は一兵士の戦死に止まらない。大黒柱を失った家族は破壊される。
庶民一人ひとりから見た戦争被害を最後の作品のテーマにした。
ストーリーの発端は新藤の体験が基になっており戦争に
選択権なしに狩り出された庶民に対する思いを映画にした。

日本最高齢の現役監督である新藤兼人監督による49作目。
監督自身、この作品が生涯最後と監督引退宣言をしている。

観客賞、最優秀監督賞:ジル・パケ=ブレネール「サラの鍵」

ユダヤ人迫害の動きが過激化する1942年のパリ。
幼い弟を納戸に隠したサラは、その鍵を手にしたまま収容所へ送られてしまう…。
過去と現代が交差し、歴史が封印していた悲痛な記憶が
掘り起こされる感動のベストセラーの映画化。

ジル・パケ=ブレネール監督は「クラッシュ・ブレイク」「ザ・ウォール」などの
B級映画をフランスで手がける。国際的な評価は今回が初めて。



最優秀女優賞:ファン・ビンビン、最優秀芸術貢献賞「ブッダ・マウンテン」

ベテランの女性歌手と、彼女と共同生活を始めることになる若者たちとの
交流を通じて、愛とは何かを描いていく作品。自由奔放に暮らしながらも、
それぞれが問題を抱える若者たちの成長を描く青春映画の要素と、
悲劇に見舞われた女性歌手の魂の救済を巡る人間ドラマの要素とを
美しく融合させた演出が光る。

ファン・ビンビンは最も注目される中国人女優の一人。
「墨攻」「新宿インシデント」など、日本ではウーロン茶のCMで有名。
リー・ユー監督作品の日本での紹介はこれが初めて。

最優秀男優賞:ワン・チエンユエン「鋼のピアノ」

妻とは離婚寸前、今の恋人も気になるけれど、
一番大切なのは愛する娘のためにピアノを確保すること.
過渡期の中国社会に暮らす市井の人々へ温かい視線を注ぎながら、
モダンで自由なセンスが楽しい新感覚の中国映画。

主演のワン・チエンユエン、監督のチャン・メン共に、
この作品が初の長編映画。次回作でもタッグを組んでいる。

TOYOTA Earth Grand Prix:「水の惑星 ウォーターライフ」

宇宙から見ると地球は水の惑星である。
氷壁は海に落ちやがて川を経て人々の生活に達する。
そして海にまた戻る水。ブライアン・イーノらの音楽を背景に、
水の美しさと汚染の危機を描く。



TOYOTA Earth Grand Prix審査員特別賞:「断崖のふたり」

ラインホルトとギュンター、彼ら兄弟の夢はヒマラヤの8000m級の山
ナンガ・パルバットに登ることだった。
何人もの犠牲者を出した魔の山の登山を描く実話の映画化。



最優秀アジア映画賞:「虹」

韓国インディーズの話題作。
子持ちの売れない女性監督ジワンが一念発起して
長編製作に乗り出すが、さまざまな困難が彼女を待ち受ける…。
全州国際映画祭で韓国長編映画部門グランプリ受賞。

アジア映画賞スペシャル・メンション:「タイガー・ファクトリー」

マレーシア気鋭のウー・ミンジン監督とエドモンド・ヨウプロデューサーのコンビが
日本渡航を計画して闇社会にはまる少女を痛切に描く。



日本映画・ある視点部門作品賞:「歓待」

下町の印刷所を舞台に、一見平凡な家族が流れ者の来訪によって
変化を余儀なくしていく人間模様を描く。
感傷を排した厳密な空間造形と人の往来によって世界を掴む、
劇団青年団演出部に所属する気鋭の若手深田晃司の意欲作。