昨年秋から、ずっと同じ二つの大きなテーマで米国株式市場は動いています。この1週間(3/18~3/22)も、その二つのテーマのニュースのおかげで主要指数(NYダウ平均、S&P500、NASDAQ、NASDAQ100)は最高値更新しました。

 

  概要

 

3/22 QTD YTD WTD MTD
NYダウ 4.74% 4.74% 1.97% 1.23%
S&P500 9.74% 9.74% 2.29% 2.71%
NASDAQ 9.44% 9.44% 2.85% 2.09%
R.2000 2.22% 2.22% 1.60% 0.84%
NASDAQ100 9.00% 9.00% 2.98% 1.64%

 

  3/22 3/15
10年債金利 4.20 4.31
2年債金利 4.59 4.73
原油(WTI) 80.63 81.04
金(NY Spot) 2,165.44 2,155.90
為替(US$/JPY) 151.41 149.04

 

ハト派的なFRBが市場を底上げ

 

今週は日米の中央銀行による政策金利を決定する会合が実施されました。

 

 

日銀は、19日(火)に政策決定会合において、マイナス金利を17年ぶりに解除し、イールドカーブコントロールを止め、ETFの新規購入も停止しました。

 

 

一方、FRBは20日(水)に終了したFOMCで、今回も政策金利を変更しない一方で、委員の多くが年内3回の利下げを想定していることを発表した(ドットチャート)。

 

 

この二つの事実だけ言えば、日本は金利が上昇し、株価は下落、為替は円高という方向に行って良いように見えます。

 

 

しかし、そのようにはなりませんでした。

 

 

日銀は、マイナス金利を解除した、即ち超低金利状態からの正常化に向けて動いたということではありますが、事前から、連続的に利上げするのではなく、当面は金融緩和環境が続く、ということを表明していたので、市場もそのように既に捉えていた。

 

また、米国に関して言えば、金利は高い水準を継続したものの、利下げの回数については、12月時点の想定と変わらず、年内3回を想定していることや、パウエル議長がまだ不透明ではあるものの、年内に利下げ(金融引締め状態からの正常化)に動くことは妥当だろう、という見解もしめしました。

 

 

ハト派的なパウエル議長の出現です。これまで、市場が先走るのは牽制し続けてきたことを考えると、かなりハト派的と考えられます。

 

 

日本は緩和状態維持、米国は金利低下への期待が継続、ということで、日本株も米国株も上昇を継続し、日本の日経平均も、NYダウ、S&P500、NASDAQ(含むNASDAQ100)も最高値を更新しています。

 

 

日本について言えば、半導体と輸出系の大型株中心で広がりに欠けるかなと思います。指数として、機関投資家が使用している東証株価指数(TOPIX。時価総額加重)は、1989年12月18日に付けた最高値(2,884.80)をまだ越えていません。

 

 

TOPIXの方が実感に近いかなと。状況が良いが、最高値を越えるにはまだ足りない。

 

  セクターの状況

 

S&P500 Sector WTD MTD QTD YTD
Communication Services 4.78% 5.12% 15.86% 15.86%
Technology 2.92% 3.24% 13.60% 13.60%
Industrial 2.89% 3.69% 9.69% 9.69%
Consumer Discretionary 2.79% -0.69% 3.36% 3.36%
Financial 1.86% 2.91% 9.78% 9.78%
Energy 1.76% 8.04% 9.99% 9.99%
Utilities 1.45% 3.39% 0.66% 0.66%
Materials 0.98% 4.52% 6.30% 6.30%
Consumer Staples 0.88% 2.22% 6.00% 6.00%
Healthcare 0.38% 0.62% 6.73% 6.73%
Real Estate(REIT) -0.44% -1.09% -4.65% -4.65%
         
PHLX Semiconductor 3.17% 3.84% 17.55% 17.55%

 

金利低下はセクター別のパフォーマンスにも影響

 

 

昨年夏から秋にかけて浮上した二つの大きなテーマ、①金融政策の転換(金利低下へ。ハト派的なFRB)と②AIの成長の二つのテーマがこの週も市場を大きく牽引しました。

 

 

金利低下期待は、グロース系セクターとシクリカル系セクターにポジティブです。

 

 

実際のセクター別のパフォーマンスもグロース系>シクリカル系>ディフェンシブ系という感じになっています。素直に反応しています。

 

 

グロース系>シクリカル系となったのは、金利の動きに加えてAIテーマが後押ししたこともあるかと思います。

 

  個別銘柄の状況

 

Magnificent 7 WTD MTD QTD YTD
MetaPlatforms 5.26% 3.97% 43.97% 43.97%
Amazon.com 2.55% 1.19% 17.72% 17.72%
Alphabet 6.79% 8.89% 7.93% 7.93%
Microsoft 2.96% 3.65% 14.01% 14.01%
Apple -0.20% -4.69% -10.52% -10.52%
Nvidia 7.35% 19.18% 90.40% 90.40%
Tesla 4.44% -15.38% -31.25% -31.25%
その他の個人的注目株        
Netflix 3.65% 4.16% 28.99% 28.99%
Advanced Micro Devices -5.97% -6.69% 21.87% 21.87%
Vertex Pharmaceuticals 1.95% -1.21% 2.16% 2.16%
Johnson & Johnson -1.86% -3.81% -0.96% -0.96%
United Healthcare -0.15% -0.72% -6.91% -6.91%
Zoom 0.00% -6.74% -8.27% -8.27%
Salesforce.com 4.57% -0.34% 16.96% 16.96%
Catapillar 3.21% 7.23% 21.12% 21.12%
Hyattt Hotels Corp 3.61% 3.62% 22.04% 22.04%
Marriott International 4.54% 2.12% 13.15% 13.15%
American Airlines Group 6.16% -5.48% 7.86% 7.86%
United Airlines 6.53% 2.15% 12.63% 12.63%
Deere &Co 4.04% 9.26% -0.25% -0.25%
Chevron Corp -0.57% 1.74% 3.69% 3.69%
J.P.Morgan 3.32% 5.68% 15.59% 15.59%

 

 

グリーンでハイライトした銘柄は、この週にAll Time Highと引け値ベースの最高値の両方を更新した銘柄です。

 

 

既に時価総額世界一に返り咲いているマイクロソフト(MSFT)は、自社のイベントでAI搭載のPCを発表するなど、引き続きAIテーマでも先行しており、最高値を更新しています。

 

 

米国司法省から反トラスト法違反で提訴され株価を下げているアップル(AAPL)とは対照的な状況です。AAPLは我慢の時かなと。

 

 

その他のグリーン銘柄は、基本的に景気敏感株と呼ばれているものです。金利が高止まりしているものの、低下の道筋が見え始めて来ていることが、大きな材料になってきているかと思います。

 

 

レッドでハイライトした銘柄は、この1週間に引け値ベースの最高値を更新した銘柄です。

 

 

エヌビディア(NVDA)は、自社のAI関連イベントで、更に進化した新しいAI用チップセットBlackwellを発表し、他社の追随を許さず独占に近い状況を維持しようとしています。

 

 

  今後の見通し

米国市場に関しては、意見はかなり分かれています。

 

 

まだまだ大丈夫とするもの、ここまでの上昇の速度が速かったので、急落は必然だろうとする説。

 

 

どちらもそれなりに理屈は立つ。しかし、実際にどうなるかは、誰にも分からない。

 

 

急落する可能性を否定せず、貪欲になり過ぎないように注意しながら、上昇の波に乗り続ける戦略かと思っています。

 

 

AIテーマは少なくとも数年は続くと見ていますが、だからと言って今の環境でどんどん積み増していくのには注意が必要かと思います。

 

 

もうあまり上がらなくて良いので、しばらく横這いでいてくれないかなと、個人的には希望しています。(希望であって予想ではないです。)

 

 

お詫び)先週の投稿の際に使った1週間のパフォーマンス数字が、誤っていました。基準をその前の週の引けにすべきところ、前々週の引けになってしまっていました。

大変失礼しました。

 

 

 

 

 

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