4月26日 | monroewalk2ndさんのブログ

4月26日

先日コンテストで落選した4枚の組写真の1枚目です。


夕暮れ時の純血横丁、アイスクリーム屋の前に三十人ほどのギャルが列をつくっている。その中にひとり、自分の番が来てもアイスクリームを買わずに再び列の最後尾に行き、唄を唄いながら延々と並び続ける少女がいる。


🎵わたしに夫はありません

 わたしに子供はありません

 でも

 ペロペロ舐める音聞くと

 どこかで捨てた子を思う

 ここはミルクの香りする

 純血横丁

 母工場


妻のある男がある日、河辺で一匹の水蜘蛛に魅せられます。その水蜘蛛は男の寝台にまで這ってきて男の胸にとまるのです。横に寝ていた妻がそれを見つけて叩き殺そうとすると、男は何故かそれをかばい百三日、胸に這わせて暮らすのです。百四日目に水蜘蛛は姿を消しますが、代わりに家の前に行き倒れていた少女、それが水蜘蛛の化身した姿でありました。

 その少女と暮らしているうちに、妻は男の少女への愛に気付き、家を出て行ってしまいます。そして口うるさい村の連中にもそれが水蜘蛛の化身したものと分かり、男の家には毎夜、呪いの網がとりまきます。ついに男は少女を捨てる決心をして、水蜘蛛の故郷である河辺に彼女を突き落とそうとした時、彼女の手足が男に絡みつき男は水蜘蛛に戻った彼女とともに奈落の底へ落ちてゆくのです……


この覗きのシーンより物語が始まります。


いざ撮影が始まると、とにかくモデルの福岡くんには緊張感が全く無くて、不平不満を言ったりわがままばかりで、その上、ふざけたり歯を見せてばかりいました。僕からモデルを依頼した手前、その態度に苛つきながらも我慢していたんですが、3日目に、そのおふざけぶりが遂に僕の逆鱗に触れてモデルをクビにしました。ギャラも発生してないのにクビもクソもないんですけども、すると、それにもかかわらず2日後くらいに、福岡くんの方から真面目にやるのでもう一度だけチャンスが欲しいという直訴の電話がかかってきました。福岡くんが一体、僕の写真のモデルを続けることにいかなる魅力を見出していたのかは今だ疑問です。その疑問を紐解くのは写真のストーリー以上にミステリアスでおもしろいかもしれないと今だに僕は思っています。それでひとつの物語も出来そうです。

この写真はその直後に撮ったものです。頼んだ側から頼まれた側に立場が僕に有利に逆転したこともあって、2月の寒さと雨の中で福岡くんは不平不満を一切言わずに僕の要求に延々と喰らいついて来ました。次に僕の機嫌を損ねたら全てが終わると言わんばかりの真剣さや悲壮感が伝わって来て、これは僕さえ上手くカメラを操作出来ればおもしろい写真が撮れそうだなという予感がしました。

撮影をする時は自分の創り出すイメージ通りの作品を撮るというのは最低限の目的で、その場に立った時、モデルと周りの状況でそれ以上に面白いものが撮れることももちろん期待します。今回、僕の写真のモデルという地位を固守しようとする不可解な福岡くんの執念も写り込んだのか、この写真を見た瞬間、思わず笑え、これだと思いました。

福岡くんはこの写真を見て「自分じゃないみたいだ」と驚いたように呟きましたが、そもそも普段自分の写った写真を見て、見慣れた、らしくおさまっている自分こそが実は作りものの自分なのかもしれません。


福岡くんにモデルを依頼した時から、撮影は近所の僕の徘徊場所のみでやろうと決めてました。

路地のいろんな電信柱や木の陰などから顔をのぞかせましたが、どうしてもうまくいかない。街灯などの光りの関係でモデルの表情が潰れてしまいます。そこで明楽時運さんのすぐ横にある街路樹を最終的に撮影場所に選びました。店の看板用の灯りがスポットライトのような役割をしてくれて程よく表情があらわになりました。後ろのファミリーレストランの電飾は路地のイメージにそぐわないので街路樹にピントを合わせて、顔は少々、背景は出来るだけぼかしました。

覗きといえば、10歳ほどの少年が板塀の隙間から屋敷の中の美しい女の妖怪を覗く泉鏡花の「絵本の春」が思い浮かぶんですが、僕にとっても覗きは蠱惑的な行為です。ちょっと怖そうなところは覗きたくなります。そして誘われて入って行くと存外おもしろくて、気付けばそこの住人になってます。





商品案内



70〜80年代のTシャツを少々店頭に追加しました。

市場で人気の高いプリントはございませんが、その年代にしかない独特の愛すべき着心地を楽しんで下さい。

気軽に普段の生活でがんがん着ていただきたいと思います。



例えばその中から僕の一番の好みのものを

すごくシンプルなプリントです。

おもしろみが無いという人が多いかもしれませんが、僕としては着ていて何も気にならないし飽きが来そうにないところが良いです。

何より薄手のコットンポリのヘロヘロの着心地の良さは最高です。

タグは付いてますが薄れて解読不能です。

誰にも自慢できないけどお気に入りの相棒といった感じの一枚です。

size  M〜L   3990円




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