『4月1日』

今どき鈍行列車(各駅停車)で旅をする人は滅多にいませんが、中村さんはそんな珍しい人種で、その旅の話を聞かされ、『ああ良いな』と触発されて僕は何度か旅に出たことがあります。

旅行というと目的地やスケジュールをきちっと決めて出て行くものというイメージがあります。それに比べて旅というと何となくいい加減な感じです。僕の場合は目的地も漠然としていて一応はそれらしき所は決めて出かけるんですが、その時の気分で途中下車したり目的地を変更したりするものですからもはや放浪と言ったほうが良いのかもしれません。

目的地を決めて最短コースでまっしぐらという旅行に比べると、中村さんと僕の旅というのはずいぶんと非効率的でムダなことが多いと思われるかもしれません。が、しかし、このムダこそおもしろいということで我々はいつも意気投合します。

ネットで検索すれば一撃で答えに辿り着ける、それに象徴される便利な世の中ではありますが、それ以外に果たしてもっとおもしろい答えは無いのだろうか？

時に不便さやムダが恋しくなります。

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