リニア開業見通しが甘すぎ…計18工区で「2027年」に間に合わないと判明 「山梨県駅」完成は2031年:東京新聞デジタル
リニア中央新幹線品川-名古屋間の建設で、完成時期が着工時に目標とした2027年を超える工区が計18工区に上ることが、JR東海への取材で分かった。静岡県の理解を得られず着工が遅れている南アルプストンネル静岡工区のほか、他県でもトンネル掘削の長期化や用地取得の遅延、作業員確保の難航など複数の要因で工期延長が相次いでいる。2027年開業をうたった見通しの甘さを指摘する声も出ている。
18工区のうち、風越山トンネル(長野県飯田市)はシールドマシン(掘削機)による掘削開始を2028年度の冬ごろとし、完成時期を示せていない。掘削に先立つ資機材置き場の整備が、埋蔵文化財調査などで遅れているためという。
一部ネトウヨの間では、「リニア工事の遅延は、川勝平太静岡県知事(当時)のせい」とする珍説が唱えられた。
川勝氏は昨年4月に知事を辞任したが、それでリニアのトンネル工事が進むかというと、まったくそんなことにはならない。
「リニア工事 遅延」だの「リニア工事 難航」だので検索すれば、たくさんの記事が出てくる。
愛知県では軟弱地盤が原因で、完成が5年半遅れるとのこと。現時点での発表だから、さらに遅れるかもしれない。
リニアのトンネル工事、完成5年半遅れ 愛知、軟弱地質で工法変更 [愛知県]:朝日新聞デジタル
静岡県で前知事が工事許可を渋ったのは、地下水の問題。
岐阜県では地下水の流れが変わり、地盤沈下が止まらぬらしい。
岐阜のリニア工事現場付近で地盤沈下、1カ月に約1cm進行 | 日経クロステック(xTECH)
リニアは完成しても、莫大な電力を消費する。よく知られたことだが、リニアには車輪がない。電磁力で車体を浮かせ、電磁力の反発と吸引の力で走らせる。
工事にこれほどの巨額を注ぎ込み、文字通りのランニングコストも莫大。
いったい東京から名古屋まで、大阪までいくらの料金を取れば採算が合うのか想像もつかぬ。
それでもリニアを開発する理由は「輸出」かと思っていた。世界は広い。ロスアンジェルスーカリフォルニア間、ボストンーニューヨークーワシントン。あるいはロンドンーパリ、ヨーロッパ横断・・・・。日本で開発成功して、そのシステムを世界に売り込む。そのための開発という意味もあろうと思っていた。
ところが、とっくに中国が成功している。
上海では20年前から空港と市街地を結ぶリニア鉄道が稼働し、さらに北京ー上海間を時速600kmのリニアで結ぶという。
中国、時速600km高速リニアまもなく商用運営へ 都市圏はさらに拡大か?|日経BP 総合研究所
日本のリニア工事開始は2014年12月。中国のリニア稼働から、約10年遅い。東日本大震災が起き、原発の稼働が極端に減少したのが2011年。電力供給が逼迫だの、中国に先を越され、開発の妙味がないなどという議論は、社内で踏みつぶされたのだろうか。
改めてJR東海の決算を見てみる。
前期末の決算は、1兆7100億円の売上に対して、6073億円の営業黒字という笑いが止まらないような好業績である。
一方で投資によるキャッシュフローは4365億円のマイナスになっている。言うまでもなく、リニア工事が原因である。
6千億円ものボロ儲け黒字の2/3以上をリニアに注ぎ込みながら、その投資の回収となる開業予定は遅れに遅れている。
これがJR東海の経営概況である。そんなムダ金注ぎ込むより、新幹線を値引きしろという利用者の怒声が聞こえそうである。
ちなみに、JR東海の株価は現在2936円。これはPERで7.37倍、PBRは0.66倍という安さである。念のために解説しておくと、PERとは利益の何倍かという指数、PBRは会社純資産の何倍かという指数である。JR東海の場合、その保有する純資産の2/3の株価でしかないわけだ。
冷徹なる株式市場は、JR東海のリニア開発の苦境(あるいは失敗)をとっくに折り込んでいるというわけである。
JR東海は、葛西敬之が社長、会長として20年以上もトップに君臨し続けた。リニア着工も葛西会長時代である。
この葛西は、安倍晋三や桜井よしこなどとご昵懇のエセ保守だったことも有名である。
いかがわしい奴が経営に君臨すれば、このようなことになるとはこじつけだろうか。