大阪IRにとって最大のリスクは、カジノ業者の言いなりになって地盤改良や地盤沈下対策を進めた後、カジノ業者が「やっぱり進出止める」と言い出すことであろう。
大阪IR、撤退懸念で計画修正 完成時期は白紙に: 日本経済新聞 (nikkei.com)
『ただ、府・市側には撤退への懸念が消えない。大阪と同じくIR誘致に名乗りを上げる横浜市では有力候補だった米ラスベガス・サンズが20年5月に撤退を表明。米ウィン・リゾーツも横浜市内の事務所を閉鎖した。「明日は我が身という思いは常にある」。大阪市幹部は身構える。』
自分たちも分かっているわけだ。悪いパターンにはまるのが見え見え。
撤退は困る → カジノ業者の言いなりになってカネを出す、賃料下げる → さらに撤退は困る → さらに言いなりになる
あるいは、
撤退は困る → カジノ業者の言いなりになってカネを出す、賃料下げる → それでも業者が撤退する → 地盤改良費等がそっくりムダになる
こんなリスクを負ってまで、こんな無理をしてまで続ける必要はない。
カジノ業者側は、安易な撤退はしないとしている、あくまで「安易には」だ。
大阪IRの事業者「安易に撤退しない」 市議会で異例の参考人招致:朝日新聞デジタル (asahi.com)
だから、安易に撤退しないということは、できる限りの交渉をする。できる限り事業のリスクを府市側に負わせる。府市から有利な条件を引き出すということだ。それができなければ、撤退するということだ。
言いなりになった結果の一つが、賃料の件だ。
IR用地の『賃料』が安い!?なぜか鑑定業者4社のうち3社が『同額を提示』...大阪市が事前に出した参考価格とも『ほぼ同じ』 市「手続きに問題ない」 | 特集 | MBSニュース
「条件が合わなければ撤退する」と言えば、府市は言いなり。土地の貸借料もカジノ業者側の決めた価格になる。
そのためにインチキな不動産鑑定書まで作成したわけだ。これでは何のための不動産鑑定かわけがわからぬではないか。
最初から、「業者の言い値です、この価格でないと撤退すると言われて従わざるをえないのです」と言っておけ。
さらに次の言いなりは地盤沈下対策であろう。
大阪IR建設地の土壌対策費内訳が明らかに、今後は追加費用発生の可能性も|日本カジノ研究所 (vegasdocs.com)
先の地盤改良費790億円は、液状化対策などであって、地盤沈下対策は含まれていない。
最も恐ろしいのは、地盤沈下対策費がいったいいくらかかるのか、わからないということだ。業者側が「地盤沈下対策として、敷地全体に100mのコンクリートパイルを1万本打ってくれ」と要求されれば応じるのか?
790億円注ぎ込んで液状化対策などを実施、業者側が次に地盤沈下対策を求め、それが1千億円かかることがわかった。1千億円の予算で工事を始めたところ、やはり1千億では無理だ、もう1千億、いやさらに5百億だ・・・。
阪神高速道路淀川左岸線工事、大阪地下鉄中央線延伸工事、こんな経緯で工事費用が膨張してきた。またその轍を踏むのは十分にあり得る。
そこまでは出せないと府市が拒絶すれば、業者はまた撤退をちらつかせる、790億円はまったくのムダカネになる。790億円をムダにするわけにはいかないと、また言いなりになって数千億円だの兆だのという予算を地盤沈下対策に注ぎ込むのか・・・・・
止めるのは早いうちだ。傷が深くなる前に撤退することだ。