統一教会と関わりのある自民党議員、まだまだ多くいます。
順番に斬っていきますが、ややマンネリ(苦笑)気味なので、短編小説でも書いてみましょう。もちろんフィクションです。
架空の宗教団体の話。
『彼はひたすら眠り続ける。死ぬことは許されない。意識がなくなってもう10年にもなるだろうか。体にパイプをつながれ、心臓と肺を人工的に動かされ、死んでいないことにされている。
彼はある国で最も規模が大きいとされる宗教団体の教祖だ。支持母体となって政党まで実質的に支配する巨大宗教団体である。創始者はとっくに亡くなっているが、1960年代から70年代、80年代、急速に組織を拡大させたカリスマ教祖が彼だ。
彼の支配したその宗教団体では、組織内で出世する方法が三つあると言われた。
一つ、多額の献金をする。これはどこの宗教でも似たり寄ったりだろう。寄付だの献金だのとカネを集め、巨大な宗教施設を建設する。出した金額の多寡で組織内で高い地位につける。その宗教団体でも同じである。
二つ、法曹資格を得る。その国で最難関と言われる資格試験に合格し、裁判官、検察官、弁護士などになれば、その宗教団体でも別格を扱いを受ける。政治の世界に進出したければ、支持母体となっている政党から優先的に立候補させてもらえる。
三つ目がひどい話だった。彼は女癖がひどく悪かった。信者や信者の娘、気に入ると「秘書」と称して自分の傍に仕えさせる。もちろん手を付ける。避妊もろくにしないものだから、女たちは当然、身ごもる。身ごもった女はどうするか。信者の男と結婚させる。そしてその夫妻の子どもとして育てさせるのである。信者の男は、彼の子どもの義理の父親となるわけだから、ある程度の身分を保証せざるを得ない。そういった隠し子の人数は数えきれないとも言われる。
彼が隠し子を信者に押し付けて育てさせ、もう何十年も経つ。組織内ではすでに、彼と顔の似ている者が高い地位に就いていると噂される。「あいつとあいつは異母きょうだいだ」、そんなヒソヒソとした声は組織内で絶えることがない。
その国の医学はかなり進歩している。ある銃撃事件においては、被害者に多量の輸血をしながら生命をつないだ。その夫人の到着を待って、「回復する見込みはない」と説明して、生命を維持する装置を外した。
その国の医療技術ならば、患者の容体がいかに悪化しようと、生命をつなぐだけならできないことはないようだ。意識はなくても、パイプを数本つなぎ、心臓と肺を動かし、脈拍と呼吸を絶やさないようにすることは可能なのだろう。もちろんそれには相当な費用がかかるが巨大宗教団体ならば、負担できない額ではない。
なぜ、そうまでして生命の維持にこだわるのか。人間、寿命が来るのは仕方ないではないか。
彼の寿命は組織の寿命につながるからである。隠し子たちが何人も現れては、相続財産を請求すればどうなるか。
隠し子の母親が、週刊誌にネタを売ればどうなるか。彼の相続財産があまりに巨額であれば、どうなるか。
人間、亡くなると不都合な事実が次々明らかになるという件は、つい最近も見聞きしたようである。
スキャンダルにまみれ、泥沼の争いや分裂騒ぎになるのは避けられない。
現在の団体幹部やその支援を受けた政党からすれば、何が何でも生きていてもらわねばならないのである。
命あってこそと言われるが、いつまでも死ねない人生というのも不自由なものだ。
彼は今日も眠り続ける。
(くどいようですが、この話はフィクションであり、実在の組織や人物とは関係ありません)