大方の予想通り、実刑判決となりました。法律家の間では、買収の規模(配った金額、配った相手の多さ)からして、判例からすれば実刑だろうと言われてはいた。司法制度は、まだ捨てたものではないようです。

 

 ところで、この実刑判決は河井被告本人よりもAさんにとってダメージが大きいかもしれません。

 河井は当然、控訴するでしょう。第二審では、執行猶予欲しさに事実を全部ぶちまけるかもしれません。

 

 「自分や妻は駒に過ぎない、Aから指示された通りに動いただけ」

 「あるいは、操り人形のようなものです、操っていたのは・・・・」

 「買収資金となった1億5千万円は自民党本部から振込がありました。Aから、このカネで〇〇しろ、誰々にいくら、某々にいくら包んで渡せと指示されました」

 「時の最高権力者の命令には逆らえませんでした」

 「買収は自分たちの意志でやったわけではありません、Aから指示され、買収資金を提供され、逆らえず、やむなくやりました」

 

 当たり前ですが、刑務所というのは相当にひどい所らしい。たまにテレビで受刑者の顔にモザイクをかけ、点呼で整列し、作業に従事している内部の映像が放送されることがありますが、あんなものは表向け。裏で行われるイジメや嫌がらせ、暴力やケンカは想像を絶するほどのものらしい。殺人犯や性暴行犯、薬物中毒が治らぬ者、そんな連中の楽しみは「新入りイビリ」らしい。

 

 法務大臣までやった河井、そんな実態はある程度は知っているだろう。刑務所の視察もしたことがあるだろう。実刑だけは、とにかく免れたい。そうすれば、上のような主張をするしかないのではないか。

 

 Aの側としては、それを阻止するべく、復帰後のポストや支援を約束したり、あるいはカネで黙らせようとするかもしれない。

 しかし、買収や脅迫や餌釣りが最も通じにくい相手、それは実刑だけは免れたいと執行猶予を求める者だ。

 少々気の早い話だが、二審が楽しみだ。