遅ればせながら、アメリカ大統領選挙について回顧します。

 「民主主義は最悪の政治といえる。これまで試みられてきた、民主主義以外の全ての政治体制を除けばだが」。イギリスの元首相ウィンストン・チャーチルの有名な言葉です。

 チャーチルの真意はどこにあったのでしょうか。「民主主義こそが最良である」と言いたかったのか、「民主主義は決して万全・完璧ではない。ただ他よりマシということは認めざるを得ない」という意味だったのか。私は後者ではなかったかと思えるのです。

 

 「すべてのイスラム教徒のアメリカ入国を禁止すべきだ」

 「メキシコ人は麻薬や犯罪を持ち込む」

 「メキシコとの国境に壁を造る。その費用を負担するのはメキシコだ」

 「メキシコは問題のある人物を送り込んでくる。彼らは強姦犯だ」

 

 こんな人物を大統領に選出する。アメリカの有権者のレベルには絶望です。

 

 選挙後、後付けのように、「この暴言こそ、トランプの策略だった」、「低レベルの罵詈雑言の応酬にヒラリーを引き込む作戦だった」などのような解説がなされましたが、そんな説明に意味はない。ただの暴言に深い意味や策略などあるわけがない。

 あったのは個人的な低レベルの思想。目立ちたがりの金満ジジイが、自己顕示欲を発揮する場として大統領選挙に出馬し、言いたい放題を実行しただけ。それがまさかまさかの当選につながってしまった。

 

 民主主義は万全でもなければ完璧でもない。日本の政治家(これまでさんざんこのブログで取り上げた)を見れば、改めての説明も必要もなかろう。

 アメリカも同じ。有権者のレベルが当選者のレベルに反映される。

 まともな候補者が当選することもあれば、選挙結果に有権者全体の気の迷い、ご乱心が表れることもあり得る。今回はそうだったということだろう。