一昨夜に続いて、昨夜は「第3部 日米の巨大な闇」が放送されました。
https://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20160724
書きたかったことは、その放送の中でほぼ明らかにされていたのですが、重複をお断わりして思うところを綴ります。
全日空は1974年に数台のトライスターを導入し、最盛期には21台を保有していた。1台の正確な価格は不明だが、当初の投資だけで数百億円にはなっただろう。だからロッキード社(ロ社)にとっては、多額の賄賂、リベートを払う価値があると考えられた。
しかしながら、事件において「黒幕」、「戦後最大のフィクサー」と呼ばれた児玉誉士夫が受け取ったカネは21億円。今から40年前の話である。当時の大卒初任給は7~8万円というところか。
昨日も書いたが、全日空という民間航空会社に航空機を買わせるため、全日空の取締役でも顧問でも相談役でもない児玉に、なぜこんな大金を渡す必要があるのか。
政界工作資金をばら撒いた真の目的、本命はロ社による対潜哨戒機P3Cオライオンの売り込み(自衛隊への導入)であろう。
1970年頃、日本は国策として対潜哨戒機の国産化を企図していた。ところが1972年以降、田中角栄内閣は国内開発の方針を白紙撤回し、外国機導入を決定する。その後、P3Cオライオンは自衛隊に大規模導入される。
田中に5億円が渡った時期、児玉に21億円が渡された時期と見事に符号する。
これなら政界、特に運輸族、防衛族と呼ばれた高官にカネをばら撒いた事件との辻褄が合う。
田中による全日空への口利きは、せいぜい5億円の賄賂に対するオマケ。「全日空の幹部にも、よろしく言っておくよ」という程度のものであったろう。
田中内閣による国産化の撤回や外国機導入には反対する者も少なくなかったろう。
そこで、ロ社の秘密代理人であった児玉が21億円の中から大金をばら撒いた(もちろん一部は自身の懐に入れたままであったろうが)。
ではなぜ、この件については立件されなかったのか。
東京地検も所詮は体制側の組織。体制を揺るがすような事件には、やはり及び腰になるということ。
自衛隊が導入する哨戒機の国産化は中止しました。日本企業は国産化を目指して研究開発に乗り出し、多額の研究開発費も投じていましたが、止めさせました。代わりにアメリカのロ社から購入しました。税金で集めた国家予算から、ロ社に数百億円も支払いました。なお、自民党代議士の某々は〇億円、自民党元防衛庁長官の誰々は△億円、自民党元運輸大臣のナントカは☓億円をロ社から受け取っています。ロ社のカネを政治家に渡す役目を務めたのは黒幕と呼ばれる児玉誉士夫です。彼はロ社の秘密代理人でもあったのです・・・
ここまでの事実が明らかになれば、国家の体制が揺らぎかねない。日米安保体制にも、再び大きな批判が巻き起こっただろう。
だから東京地検は、灰色高官について蓋を閉ざし、田中の収賄を全日空への口利きと矮小化して立件したのだ。
こんな番組を、今のNHKが放送するとは少なからず驚いた。
マシなスタッフも、まだまだ少なくないのであろう。