今日の日経朝刊第6面には、黒田日銀が追加緩和を決定した経緯が詳しく書かれている。
 それによると、黒田日銀は今年10月の原油安でひどく動揺したらしい。原油安によって、運輸コストなど幅広い物価が下がる可能性があり、2%の物価上昇率達成に危機感を覚えたというわけである。

 バカですね・・・。黒田日銀にとって、2%の物価上昇率というのは単なる帳尻合わせ、数字合わせでしかないというのがよくわかりました。
 一般に、経済状態は弱インフレの時がよいと言われます。逆に言えば経済状態が良好なら物価水準は緩やかに(年2~3%程度)上昇するわけです。すなわち、人々の消費意欲が旺盛で、物やサービスへの需要が供給をやや上回る。
 この状況なら物価は穏やかに上昇し、設備投資も進み、経済は安定的に成長します。

 だからと言って、物価が上がればよいなどというものではありません。
 例えば、地球規模の異常気象でひどい干ばつが各地に発生し穀物価格が急騰した。これで「物価が上がってよかった」と喜ぶ奴はバカである。

 原油価格が下がったのは需要が減ったからではなく、アメリカでシェールガスやシェールオイルが量産され、カナダでもオイルサンドからの原油採取が進んできているからである。
 地球環境への影響についての議論は別にすれば、安価で使い勝手のいいエネルギー資源の供給が進んでいることは経済にとって明らかなプラスなのである。
 仮に物価上昇率2%が達成できなくても、「技術革新により原油やガスの価格が下がったためである」でよいではないか。

 先日の日経電子版には、今般の追加金融緩和について、「日銀公認、円の大バーゲンセール」と書かれていた。
 確かに、円の価値を下げるのは簡単。円をただひたすらばらまけばいい。ばらまけば円の価値は下がり物価は上がる。
 こんなことをやって、何の意味があるのか。
 こんな愚行へのしっぺ返しが、近い将来やってくると思うのは私だけではないでしょう。