日銀:来年度の国債引き受けを今年度並みに抑制-「財政穴埋め」回避
10月9日(ブルームバーグ)より抜粋

 『日本銀行は、来年度償還が来る保有長期国債の乗り換えに伴う引き受けを今年度並みの規模に抑える方針だ。市場を通さない国債引き受けは財政法5条で禁じられているが、償還到来国債の乗り換えは例外措置として認められている。

 日銀の木内登英審議委員は9月19日、釧路市で会見し、「乗り換え引き受けについては、政府からの要請に基づき、われわれが対応を考えるというものだ」と指摘。その上で「政府からの要請があって対応を考える場合は、従来通り、国債引き受けではないという認識が決して変わらないように、対応を検討していくのが妥当だろう」と語った。
関係者によると、日銀内では、あくまで例外措置とはいえ、財政法で禁じられている国債の直接引き受けを大量に行えば、財政ファイナンス(穴埋め)と受け取られるとの懸念の声が根強い。

「既に事実上の国債引き受けに」
 日銀は量的・質的金融緩和の下で、毎月の発行額の7割に当たる7兆円の長期国債を買い入れている。BNPパリバの河野氏は「金融機関は高値で買い取る日銀への転売を目的に入札し、事実上日銀のブローカーとなっている」とし、「長期国債は事実上、日銀引き受けとなっているのではないか」と指摘。シティグループ証券の村嶋帰一チーフエコノミストは「今年度の引き受け額(11.7兆円)を大幅に上回る場合は、財政ファイナンスの懸念を強める可能性が出てくるだろう」という。
伊藤忠経済研究所の丸山義正主任研究員は「日銀は財政ファイナンスと受け止められることを何よりも嫌悪している」ため、「財政ファイナンスと受け止められかねない自らの措置も回避する」と指摘。乗り換え額については「従来額までに限定する」と予想している。 』


 昨日の記事で紹介した日銀HPの通り、日銀は保有している国債のうち、償還期限が到来したものについては、財政法第5条ただし書きの規定に基づいて、国会の議決を経た金額の範囲内に限って、国による借換えに応じています。
 この満期国債の借換えのための直接引受けについて、上記記事から日銀が財政ファンナンスと解釈されないように神経を尖らせている様子がわかります。

 民間金融機関には国債の応札義務があります。ところがその義務を果たせばすぐに日銀が国債を買い取ってくれる。民間金融機関にとれば楽な商売です。政府から国債を買って、日銀に売って少しばかりの利ザヤを抜く。日銀の国債買付のブローカー、あるいは国債取引のトンネルのようなものかでしょうか。

 前回記事で、「実質的には国債引受けである」と金融市場が判断した時、(中略)悪性のインフレーションを引き起こすおそれ」が生じることになります、としましたが、そういう声はすでに上がり始めているわけです。
 足元の氷がどんどん溶けて薄くなっている、あるいは御嶽山のごとく水蒸気の圧力が高まり爆発寸前になっているように思えるのは私だけではないでしょう。