前回記事の続きですが、金子のバカとは直接のかかわりはないため、タイトルは変えました。

 鶴見良行氏の著作、「ナマコの眼」(ちくま学芸文庫)には、植民地支配のために原住民を弾圧する白人たちの手口が書かれている。

 侵略者にとって、最も効果的な兵器は銃器などではなく、「酒・麻薬・伝染病」だそうだ。
 確かに、いくら銃器で攻撃しても逃げられたら殺せない。地理には原住民の方が詳しい。山間や谷合に逃げ込まれれば追いきれない。逆に反撃されたり寝首をかかれることもあり得る。

 それよりも偽りの友好を示し、ウイスキーや麻薬を供与した方が、原住民を弱体化できるというわけである。

 伝染病を使う手口はさらに残忍である。
 スペインは、南西諸島侵略において島民の叛乱を受けたため、飲料水にペスト菌・チブス菌を投じて島民の全滅を図った。
 メキシコを征服したときのスペインは、反抗する住民の中に天然痘の黒人を送り込み、350万人を病死させた。
 オーストラリアでは、原住民のアボリジニーを弱体化させるため、チブス患者が使っていた毛布をさかんにプレゼントしたという。
 以上は、「ナマコの眼」参照である。
 
 伝染病を使えば、殺人者の姿は見えない。殺された側も、果たしてそれが人為的なものか、ただの病死なのかどうか判断はつきにくい。

 それが人為的なものかどうか断定する根拠はないため、以下に事実のみ記す。

「1886年、北海道内各地で天然痘が大流行する。以後3年間の死者は2557名にのぼる。」
 この時代、北海道以外の日本国内において、そのような伝染病の大規模被害は生じていない。