久しぶりに市立病院を訪れた。
 もちろん前もって電話を入れ、過去の診察歴を告げてある。
 診療開始時刻前に病院に着き、診察室の前で待っていると、診療開始時刻をやや過ぎて、白衣をだらしなく着たいかにもやる気のなさそうな医師が入ってきた。かつてのヤブ4号は、もういないそうだから、彼の診察を受けるのだろう。
 名前を呼ばれて診察に入ると、やはりその医師であった。病状を訊かれたので、結論から言った。以前にこの病院で鼻腔にポリープがあるとの診断を受けた。症状がおもわしくないので、切除する手術を受けたい。
 以前に撮影したCTの写真は、すでに処分してしまったということであったが、私の鼻腔を診察した医師は目視しただけですぐに言った。「確かにポリープがあります」。
 改めて、ヤブ4号、5号らに怒りが湧いた。なんのことはない、レントゲンだのCTだの使わずとも器具で鼻孔を少し開き、光を当てて見るだけでポリープは確認できるのだ。
 ヤブ5号など、ポリープのポの字も口にしなかった。見て見ぬふりをしてやがったのだ。
 医師はさらに、私の鼻腔にファイバースコープを挿入して、映像を見せてくれた。
 ぞっとした。異様な形をしたポリープが鼻腔内に並んでいる。
 あのヤブ医者ども、よくぞこれらを放置したものだ。患者の体内に、こんなオドロオドロしい物があるのを見て見ぬふりなど、どうしてできるのか。
 医師失格以前に、人間として狂っているとしか思えない。
 医師は言った。「こちらでは、現在手術をする体制がありません。手術できる病院に紹介状を書くことはできます。」
 医師は紹介できる病院として、2,3の病院の名前を挙げた。その中に、かつて高校生の頃、手術を受けた総合病院の名前もあった。その総合病院宛ての紹介状を受け取り、本当に久しぶりにその病院に向かうことになった。