また鼻風邪をひいた。
 ファステイングで窮地を脱したのはいいが、油断するとすぐに鼻から風邪をひく。当たり前だ。鼻腔にポリープを抱えたままなのだから。鼻腔にポリープがあれば、鼻粘膜は炎症を起こしやすい。鼻粘膜の炎症は風邪につながる。
 改めて、「ポリープがある」で終わらせたヤブ4号への怒りと、それで引き下がった自分に腹が立ってきた。
 そう年に何度も断食ばっかりやっていられない。
 芸能人で、原因不明の病気になり、医療機関を渡り歩いた人の話を思い出した。診察券が束になるほど、数多くの病院・医院を訪ねて回ったそうである。
 耳鼻科の医者がヤブだらけでも、10人に1人か、100人に1人ぐらいはまともな医者もいるだろう。
 その頃、仕事にも余裕ができ、通院のための時間を作れる状況にあった。「こうなったら、今度ばかりは徹底して耳鼻科を周り、ポリープを切除してくれる医者を見つける」。
 そう決めた私は、人生何十度目かの耳鼻科通いを始めた。

 手始めに、会社近くの耳鼻科に行ってみた。そこでまたヤブ5号に遭遇する。最初の診察で、病状、過去の手術歴、それにポリープについても言った。そしてレントゲン検査を受けた。
 2回目の診察で、レントゲン写真を示し、ヤブ5号は言った。「副鼻腔の手術痕は問題ない」。おいおい、だから鼻腔のポリープはどうなんだ。
 ヤブ5号はそこで話を打ち切った。明らかにそれ以上のコミュニケーションを避けている態度であった。通院させてカモにしようとしているのだろう。ここにはもう用はない。

 次に、かつての市立病院に再び行ってみることにした。どんな展開になるかわからないが、場合によっては「ある」で済ませたヤブ4号に罵声でも浴びせてやろうかという思いだった。まず電話をしてみた。過去にそちらで診察を受けたことがある、鼻腔にポリープがあるとの診断をうけたがそのままになっている、今般切除する手術を受けたい。
 ところがかつての医者(ヤブ4号)はもういない、現在は耳鼻科は手術はできず、外来のみの診療になっている、とのことだった。医者不足の影響がこんなところにまで来ているのかと思いつつ、再び市立病院に行くことにした。
 行って、手術は無理でも前回撮影したCTの映像をいただくか、手術できる病院を紹介してもらうつもりだった。