そうして市立病院耳鼻科に通うことになる。診察を受けたのは、知人である歯科医師の親族の耳鼻科医(ヤブ4号)だった。
久しぶりの耳鼻科診療だが、基本的には診療方法は自分が子供だった頃と変わっていなかった。
医師がまず鼻腔を目視して診察し、薬液を噴霧し、さらにネブライダーという機械で蒸気化した薬液を鼻腔に通すという方法だった。
最初の診察でヤブ4号に色々と訊かれた。子供の頃から悪かったこと、手術を受けたこともあること、最近またひどく調子が悪い・・・。
私の話を聞いたヤブ4号が、次回の診察でCT検査をすることを提案した。CT検査とは、(Computed Tomography:コンピュータ断層診断装置)による検査のことで、X線を使って身体の断面を撮影するとのこと。体内の様々な病巣を発見することができるそうである。
そうして2回目の診察でCT検査を受け、3回目の診察でその結果を聞くことになった。
CTで撮影された映像を見てヤブ4号が言った。
「ポリープがある(以上、終わり)」。
もう何十回目だろうか、耳鼻科医に絶望させられるのは。
このブログの読者の中には、信じられない人もいるだろう。世の中には、ポリープがある患者に対して、「ある」の一言で終わらせる医者がいるのだ、この日本にである。
「このポリープ、切除することはもちろんできます。その場合、〇時間の手術になり、〇日間程度の入院が必要です。退院後、〇日間ぐらいは安静にしていただいて、完全に回復するには〇週間程度かかります」などということは決して自分からは言わないのである。
鼻腔にポリープのある奴など耳鼻科医のカモである。通院させて一時的によくなっても、季節の変わり目だ、冬に風邪をひいた、花粉症だといって必ずまた戻ってくる。カネのなる木、あるいはカネヅルである。そんなカモのポリープを切除するなどまっぴらごめんなのである。カネヅルをわざわざ切るバカがいるかというわけだ。
これが大多数の耳鼻科医の本音なのだ。
この頃、私の鼻の症状は手術後最悪の状況だった。私は最後の手段として、再び耳鼻科医をあてにするのを止めて、断食療法に挑むことにした。
「ファスティング」とは文字通り断食の意味だが、同名のドリンク剤がある。食事に代えて、これを3日間飲み続けると色々な効果があるらしい。
これは劇的に効果があった。3日間の断食の2日目に大きな効果があった。効果の詳細は略すとして、腹がすっきりしただけでなく、鼻粘膜の炎症が治まり、鼻の通りもよくなった。耳鼻科の治療よりもはるかに効果があった。
命拾いと言ってもいいかもしれない。あのまま炎症を続ければ、私の鼻腔や副鼻腔はいったいどうなったろう。
副鼻腔炎も放置すれば最悪、副鼻腔ガンになることもあるらしい。
ヤブ耳鼻科医への憤りはともかくとして、ひょっとすると自らが死の淵から生還できたかもしれないとすれば幸運だったのかとも思える。