その総合病院での手術は、あくまで副鼻腔の手術であり、鼻腔には手をかけないものだった。
 最悪ヤブによって潰され、膿だらけになった副鼻腔はきれいになっても、元からの鼻閉の原因である鼻腔の歪みや慢性的な炎症から生じたポリープはそのままだったのである。
 これではよくなるわけがない。
 それでも、症状はマシにはなった。鼻の通りは少しはよくなったし、慢性的な頭痛、ひどい鼻膿による不快感は少なくなった。

 それにしてもあんなに苦しい手術をして、少しマシになった程度とは情けなかったし、期待外れだった。
 「鼻が悪ければ耳鼻科に行け」という常識はデタラメ。通院しても、手術してもダメ。
 耳鼻科に絶望した私は、それ以後も、いろいろな対策はした。
 鼻腔に薬液を噴霧する点鼻薬は、最初は効果あった。充血した鼻粘膜の腫れを抑え、空気の通りはよくなった。しかし、薬が切れれば元通り。使い続けると効果は落ちるし、薬が切れた時はリバウンドでよけいに調子が悪くなるようになった。

 鍼治療も試したが効果はなかった。
 漢方薬は少しは効果あった。特に「荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)」は効果あった。これは軽度の鼻炎や慢性的でない蓄膿症の症状改善にお勧めできる。

 最も効果的であったのは、断食療法。断食をやるとなぜか不思議だが、鼻粘膜の炎症が治まり、鼻の通りはよくなった。しかしいつもいつも断食をやるわけにはいかない。だいたい断食は苦しい。

 耳鼻科に絶望した私は、以後長い間、こうやって自分の症状をごまかし、抑えながら生きてきたのである。