ソチ五輪の話題に関して2名ほどを斬りましたが、一昨日のフィギュアスケート世界選手権の女子シングルでは、浅田真央選手が見事な演技で優勝を飾り、五輪シーズンの最後を締めくくりました。
早いものでフィギュアシーズンが終わる前にプロ野球が開幕し、あと2ヶ月余りで2014FIFAワールドカップが開幕します。今大会も熱戦に期待します。
前(南アフリカ)大会では、番狂わせが多く、事前予想がことごとく外れたのが印象的でした。その頃言われたことが、「フットボールの専門家の予想は、国際経済の専門家のそれと同レベルである」。
しかしまあ、勝つか負けるかわからないから勝負であり、だからこそ面白いのです。勝負の行方がわかりきるほど実力差があるなら「勝負にならない」と言われのであり、事前予想が外れるのも悪いことではありません。
そもそも予想(ヨソウ)なんて、本当に当たるかどうか疑うなら、反対から読んでみろという程度のものです。
これは経済の分野においても言えることで、経済の未来を予想するというのは極めて困難であり、特定の経済評論家の予想が当たるなら、誰でも金融取引でボロ儲けできるだろうというものです。そもそも、その評論家が金融取引でボロ儲けできて、評論家などやっている必要もないだろうという話です。だから、ワールドカップの番狂わせの引き合いに出されるわけです。
それにしても長谷川の外れ方はひどい。
長谷川の外れっぷりの例を出すときりがないのですが、最もひどかった例を紹介します。
『長谷川慶太郎の大局を読む(2009年)」
http://www.hasegawa-report.com/book/taikyoku.html
「2009年の大局」ということで、2008年10月の出版となっています。さらに10月の出版ということは、実際には9月の初めから書店に並んでいました。原稿を執筆した(本当にしているとして)のは7月から8月でしょう。
この第1章は、「サブプライム問題は終わった」。
意味わかりますよね?
この前年(2007年)から「サブプライムローン問題」が顕著になっていました。アメリカの低所得者に対してやや高金利で住宅購入費を融資する「サブプライムローン」。返済が滞ると担保の住宅が差し押さえられ、売りに出される。ただし、それ以上の返済義務はない。
このサブプライムローンの不良債権化が住宅価格相場を押し下げ、さらなる不良債権の発生が懸念されていました。
金融関係者の心配をよそに、長谷川の出した結論は、「サブプライムローン問題はすでに終結した」。
この本が出てわずか2週間、「リーマンショック」が世界の金融市場をパニックに陥れます。サブプライムによる不良債権を抱えたリーマンブラザースが経営破たんし、それ以外の金融機関もサブプライムによる損失が拡大し、連鎖倒産の懸念から金融機関同士での取引がほぼ停止し、世界の金融市場機能がしばらく麻痺するという事態が発生します。
なかなか、ここまで外そうと思っても外せるものではありません。
当時私は、長谷川が同書を大慌てで書店から回収し、なかったことにするのではないかと思ったのですが、違いました。
書店から回収するどころか、そのまま販売を続けます。
上記は長谷川の公式サイトです。公式サイトで、現在も販売している。何ら恥じることはないし、「しまった」と思うこともない。
こういう著名かつおエラい人の思考回路は、私のような凡人には理解不能です。
長谷川の近著は、「日本は史上最長の景気拡大に突入する。アベノミクスは沈まない」です。
日本経済の先行きが心配でならなくなるのは私だけでしょうか。