今日は、バカ認定はお休みします。代わりに、最近つくづく思うところを綴ります。
一昨日、東京地方裁判所において、日本経済新聞社と同社社長らが週間文春を発行する文芸春秋に対して名誉毀損による損害賠償を求めた裁判で、文春側に1200万円の支払等を命じる判決が下されました。
この類の訴訟において、賠償金は年々高額化しているように感じます。
今日は、やはり週刊文春の記事に対して、清原和博氏が事実無根と反論し、早くも法的措置の用意を示唆しています。
1986年12月、当時人気絶頂であったタレントのビートたけしが、たけし軍団と呼ばれた弟子たちを連れ、講談社フライデー編集部に押しかけ、暴行傷害事件を起こし、現行犯逮捕されました。
たけしが交際していたとされる女性への、フライデー記者による強引かつ執拗な取材への抗議が原因でした。
事件後、フライデー側は、「言論、出版の自由を阻害する暴挙」という趣旨の抗議声明を上げましたが、これに対して、「女子大生(たけしの交際相手)を追っかけ回して何が言論の自由だ」、「言論の自由とはそもそも時の権力に対して向けられるべきものだろう」という呆れた声が上がりました。
有名人の後を付回し、その有名人が誰かと会った瞬間の写真を売りにしたいわゆる写真週刊誌は、その後売上を落とし、三流マスコミはまたゴシップ、スキャンダル記事に注力します。
ところが、書かれた側からすれば看過することはできません。事実ならばともかくとして、事実でなければ訴訟を提起して損害賠償を請求するというのは珍しくなくなりました。そして、判決による賠償金も上記の通り年々高額化しているようです。
そうするといい加減な根拠でスキャンダル記事は書けない。よほど確かなスキャンダルのネタがあればいいが、そんなには転がっていない。
そこで三流マスコミの次のネタは、中国と韓国及びその指導者の悪口になったと思えるのです。
これなら滅多に訴訟を提起されることもない。自慰的満足感に浸りたいネトウヨやその予備軍たちがけっこう買ってくれる。丁寧な取材や検証は必要ない。あちこちで大量に書かれているので、過去の記述を繰り返したり、他の雑誌の受け売りやマネをすれば記事を書く手間も簡単、カンタン。
この類の週刊誌、月刊誌を挙げれば、枚挙にいとまがありません。
先日、J-castを批判しましたが、あれにしても主要な読者であるネトウヨに配慮し、わざと真実をボカした記事にしたのでしょう。
たけしフライデー事件の後、「権力に向けられるべき」と言われた言論の自由は、真実を追求することを避け、近隣国やその指導者の悪口に終始するようになってしまいました。
「衆口金を鑠かす」とも言われます。
こういう安易な言論や風潮は、結局のところ国の利益を損なうように思えるのは私だけでしょうか。