今日のカットは、京都平等院 鳳凰堂に祀られている52躯の雲中供養菩薩の中の「南12」像。
僧が浄土の世界から雲に乗って舞い降りて来る途中でしょうか、下界を見下ろすような仕草で合掌しています。
周囲には、天人達の楽器を奏ずる姿や、舞う姿があると思うと、賑やかな雰囲気を想像します。

現在、52菩薩の多くは宝物館で真正面から間近に拝観出来ます。
鳳凰堂の長押の上ではその表情などはほとんど見えません。
その意味ではガラス越しですが眼の前で観られるのは有難いと思います。
ただ、これらの像を造った大仏師定朝一門の仏師達は、このアングルで観られることは想定外と思います。
高い長押の上に祀られ、下から見上げた状態で一番美しく見えるようにしているはずです。
なので、ほんの少しでも、その雰囲気を感じたくて、他の拝観者の迷惑にならぬ範囲で、私はしゃがみ込んで見上げて観るようにしています。

ただ、時には「変なじいさん」と見られます。また「具合が悪いのですか」と声がけされることも。
そんなときは、理由と仏師が見て欲しいであろうアングルから観ていますと話すと、その方もしゃがんで拝観し、納得頂いたこともあります。