現在解体修理中の奈良薬師寺の東塔は、730年の今日、3月29日に建立されました。
それに因んで、今日のカットは、鐘楼の鐘と撞木越しに見る東塔です。
この塔の謂れについては、多くの情報がありますので、今日は「千年釘」にスポットを当てます。
良く「昔の建物には釘は一本も使われていない」と聞きます。確かに白川郷の合掌作りなどではそうかも知れませんが、塔の場合は大切な部分に鉄の釘が使われています。
普通、鉄と言えば、赤く錆びて朽ちるイメージです。
雨ざらしでなくても、柱に打ち込まれたものでもきっちり錆びて、50年もすれば間違いなくもろくなります。
なぜ同じ材料の鉄でありながら千年もつものと50年で朽ちるものの差があるのでしょうか。
千年もつのならステンレスなど不要です。
その差は、製法にあります。一般の釘は、最先端の高炉で、できる限り短時間で効率よく作り上げられます。
結果、ホームセンターなどでも安価で購入できます。
一方、「千年釘」は砂鉄を炭で還元、不純物を限界まで少ない状態で鍛造して作られます。
不純物が少ないと、空気に接している表面は錆びても、内部には寝食しにくく、千年持つのです。
薬師寺西塔を再建された西岡常一棟梁は、千年以上の樹齢の木材(檜)で作れば、千年持つ建物ができる。そして釘についても、千年もつものを使うと言われています。
実際、西塔には白鳳時代の釘の鍛造技術で作られた釘が使われています。
先人の知識と技術力に敬服するばかりです。

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