唐招提寺の本尊である盧舎那仏は、天平時代に像造された304.5cmの
大きな脱活乾漆像です。
使われた漆の量は半端ではなく、現在この仏像を像造するとすれば、
仏師と良質の漆の確保が不可能に近く、また予算も軽く億単位(数十
億単位?)が必要でしょう。
この仏像はこれまで、アングルを変えて複数の作品を作っていました。
この度繋がった唐招提寺さんとのご縁で、打ち合わせなどで伺う際、
いろいろお話をさせて頂く中で、これまで制作した作品もご覧頂いて
います。

光背のない作品
イメージ 1
 
その中で、この盧舎那仏像の作品は、「光背がないのが寂しい。光背
があっての盧舎那仏です。」との感想をお聞きしました。
そう言われてみれば、ちょっと寂しい感じもします。
 
私は、仏像の切り絵作品を制作する場合、ほとんど光背を描きません。
理由は、仏像そのものの美しさを全面に引き出したいからです。
光背には必ず仏像や花などの模様が描かれるか彫刻されていて、仏像
の背景にこれらも切り絵で表現すると、当然賑やかになり、私の求め
る静かな空間が損なわれます。
さらに、光背は仏像より後世に作られたものが多く、千年の歴史を感
じさせる仏像に対し、金ピカであったりもします。
 
盧舎那仏は、宇宙の中心をなす仏様です。そして唐招提寺の盧舎那仏
坐像の光背には千の化仏(けぶつ)が、宇宙で言うなれば無数の星の
如く配置され、仏像と一体化しているように思えます。
そこで、今回光背を含めた作品を制作しました。
光背を入れると、仏像からオーラが出ているようで、雄大さを感じる
ようになり、拝観したときのイメージに近くなりました。
 
光背を入れた作品
イメージ 2
 
これからは、光背を描くかどうか、仏像によって拝観したときのイメージも大切にして
決めて行きたいと思います。