子供の頃、我が家の応接に柱時計がありました。
父が毎朝、キチキチキチッと音を立ててネジを巻き上げます。
正時に時の数だけ、30分には1つだけ「ボーン」と深い音を
鳴らせます。
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戦前、親父がのれん分けの形で事業を興すとき、それまでの
ご主人からお祝いにもらったものと聞いています。
英国製のその柱時計も、ときどき止るようになり、時計屋さん
に修理に出したのですが、部品が特殊で国内にはなく修理でき
ないとの残念な回答に現役を引退せざるを得なくなりました。
長く実家の物置に置かれていて、20年ほど前、家屋の建て直
しのため粗大ゴミに出される運命と聞き、気になって私が引き
取ってきました。
歯車などメカ部分は錆び1つできておらず、素人ながら修理を
試みました。時計屋がないと言っていたバネの部品に近いもの
を探して交換、なんとか動き出しますが、1時間も経たぬうち
に止ってしまいます。
何度も素材を変えて交換しましたが、1日動き続けるのは無理
でした。止むを得ず、今度は我が家の物置に入ることに。
ところが、先日幼稚園の先生をしている娘が、時の記念日に、
この時計を見せてやりたいと言い出しました。
物置から出して機械油を差してみますと、10分ぐらいで止り
ます。
それでも、園児達はこんな時計見たことないと思うので、時の
記念日の話の中で見せて上げると言って持っていきました。
どんな目的であっても、少しでも役に立てば時計も喜ぶのでは
ないでしょうか。