十円硬貨の表面のデザインで有名な平等院の鳳凰堂、そのお堂の中に
は本尊の阿弥陀如来坐像と周囲の壁上部に52躯の雲中供養菩薩像が
懸けられています。
雲に乗って合掌される方、楽器を持って音楽を奏でる方、天衣を持っ
て舞われる方など、そのお姿も多種多様です。
極楽浄土の世界を表しているのでしょう。
鳳凰堂そのものと一対の鳳凰、堂内の仏像と天蓋はすべて国宝、世界
遺産に登録されています。
文化庁が指定する国宝の仏像彫刻で、1件として52躯の仏像群が登
録されているのは最大です。
次に多いのは、京都三十三間堂の28部衆でしょう。
 
平等院所蔵の仏像は、これまでに本尊の阿弥陀如来坐像と私の好きな
お姿の雲中供養菩薩像を5躯、合計6躯を切り絵作品にしていました。
 
今回の大震災では多くの尊い命が失われ、未だに多くの方が行方不
明です。そして多くの方が愛する人、故郷、家などを失われて避難生
活を強いられる状態が続いている中で、義援金をお送りするほかに、
祈りを捧げるぐらいしかできぬ自分であることに不甲斐無さを感じてい
たとき、ふと「雲中供養菩薩」の「供養」の2文字が眼に留まりました。
そして52躯すべてを作品にしようと、祈りを込めて制作に取り組み
ました。

作品はA4サイズに統一、乗っておられる雲の一部はトリミングして
いますが、菩薩様は全身の姿でデザインしました。
業務の合間を縫って、コツコツ積み上げて来ましたが、先ほどやっと、
52躯すべてが完成しました。
 
イメージ 1
 
完成後の作品をどうするか当てもないまま、ひたすら祈りの中での制
作でした。作品は、とりあえずクリアファイルに収納しています。
 
これらの作品をもし展示するとなると、本尊の大きな額が1つと、
雲中供養菩薩像用の小さな額縁が52個必要です。
もし、これらを90cm(半間)間隔で部屋の4面の壁に並べるとする
と、約80畳の部屋が必要となります。
このような大きなギャラリーを借りるのは、趣味の範疇では不可能に
近いです。
ならば、これらの作品をどうするか、これからいろいろな方にお知恵
を頂きながら、どうすれば生きるか、お役に立てるのかを考えて行
きたいと思います。