ハイウェイを駆け抜けて2 | 注文の多い蕎麦店

注文の多い蕎麦店

人間は何を食べて命を繋いできたのか?
純粋に生きるための料理を実践し
自然に回帰することで
人間本来の生活を取り戻します。

え・・・?
死んだ・・・??

前日の夜中。
1台の車が高速道路で単独事故。
助手席に乗ってた彼。
側壁にぶつかった反動で体は車外へ。
アスファルトに頭を打ち付けた彼は
ほぼ即死状態。

もちろんシートベルトはしてませんでした。

その日の通夜。
彼の自宅には溢れかえらんばかりの人。人。人。

親戚、同級生、先輩、後輩、会社仲間・・・
彼の人柄が窺い知れる盛大な最後の儀式。

会場に入れなかった後輩たちが
夜の街道で会葬のクラクションを奏でる。

ああ彼はもういないんだなぁ。
不思議と涙は出てきませんでした。
ただ彼と交わした言葉たち。
そのフレーズが頭の中を駆け回り。

あいつどうしてる?

相変わらず元気にしてるでぇ。

ラグビー部どうなった?

だいぶ形になってきたで。
そろそろ試合できるんちゃうかなぁ。

あの先生まだおるんか?

まだおるでぇ。めっちゃうっとい。

いつもこの形式。
彼の質問に僕が答える。
そういや僕から質問したことなかったなあ。

彼ほんとはもう一回学校戻りたかったんだろなあ。

俺金貯めて車買うねん。

本題。
ハイウェイを駆け抜けて。

運転手は無事でした。
シートベルトさえしておけば・・・

僕はいつも思うんです。
シートベルト違反で捕まる人の気が知れない。
何のために付けるの?
減点されないため?

たった1本のベルトで助かる命もあります。
たった1本のベルトさえあれば・・・

美味しいものもたくさん食べられただろうに。
行きたい所にもどんどん行けただろうに。

お金貯めて車だって買えただろうに。
もしかしたら学校に戻ることさえ・・・

たった1本の命綱を面倒臭がらないで。
その命は必ず救える命です。

天国で車買えてるといいなあ。
今頃電気自動車だったりして(笑)

完。